砂漠の嵐作戦

砂漠の嵐作戦 (Operation Desert Storm)

砂漠の嵐作戦は、1990年から1991年にかけて展開された湾岸戦争の一部として、アメリカ軍が主導した多国籍軍の軍事行動です。この作戦は、イラク軍のクウェート侵攻への対応として行われ、国際連合安全保障理事会決議678に基づき、43日間にわたる空爆と約100時間の地上戦によって成功裏に遂行されました。

作戦の発端と経緯

1990年8月2日、イラクがクウェートに侵攻したことに対し、国際社会は強い反発を示しました。侵攻直後に国連は決議660を採択し、イラク軍に対する即時無条件撤退を求めました。しかし、イラクがこの決議を無視したため、国連は次々と経済制裁や軍事行動の可能性を示唆する決議を採択していきました。アメリカのブッシュ大統領は、イラク軍のサウジアラビアへの侵攻を阻止するため、外交的そして経済的圧力を加えることに注力しつつ、最終的な手段として軍事行動を検討しました。

その後、アメリカ軍は「砂漠の盾作戦」として、サウジアラビアに軍を展開しました。この展開により、多国籍軍がサウジアラビアに集結し、イラクに対する防衛態勢を整えていきました。

作戦の設計と準備

空軍参謀本部では、イラク軍に対する攻勢作戦の計画が検討され、ワーデン大佐によって「インスタント・サンダー」という作戦構想が提出されました。これは、短期間でイラク軍の指揮機能を奪い、軍事力を破壊することを狙いとしていました。この計画を基にして、シュワルツコフ大将が作成したのが「砂漠の嵐」作戦です。

戦闘の開始

1991年1月17日、アメリカ軍による戦略的航空作戦が開始されました。初日の攻撃は非常に成功し、イラクの防空ネットワークを無力化しました。その後、地上作戦に移行し、多国籍軍はイラク軍に対する猛攻を開始しました。この空地連携により、イラク軍は迅速に圧倒されました。

砂漠の剣作戦とその後

作戦の後半では、陸上攻勢作戦「砂漠の剣」が実施され、イラク軍の組織的な抵抗が崩れ、クウェートは解放されました。29日から30日にかけて、イラク側がカフジを攻撃するも、多国籍軍の迅速な反応により奪回が実現しました。26日はイラクからの撤退命令が発令され実質的に戦闘は終了しました。

戦争の影響と評価

砂漠の嵐作戦は、国際社会における集団的安全保障の重要性を再認識させるきっかけとなり、また、新たな軍事戦略の一例として軍事史の中で語り継がれています。特に、空軍の重要性と地上軍との連携の重要性が際立ちました。この成功は、アメリカとその同盟国にとって、大きな戦略的勝利となりました。

多国籍の協力と連携により、この作戦は短期間で多くの成果を挙げ、結果的にイラクの軍事的威信を大きく損なうこととなりました。また、多国籍軍の指揮能力の高さも証明され、作戦終了後の国際的な安定に寄与しました。

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