砂糖問屋

砂糖問屋の歴史と役割

砂糖問屋（さとうどいや）は、日本の江戸時代において砂糖を専門に取り扱った商業施設です。江戸初期まで砂糖は高価な輸入品として扱われていましたが、江戸時代に入ると国産化が進み、さまざまな藩で砂糖生産が本格化しました。これに伴い、大坂に砂糖の流通拠点が形成され、数多くの砂糖問屋が設立されました。

国産化の進展と砂糖の生産地

砂糖の国産化に大きく寄与したのは薩摩藩です。薩摩藩は砂糖の生産を開始し、続いて徳川吉宗の政策により、他の藩も砂糖生産に力を入れるようになりました。高松藩、丸亀藩、徳島藩などがその例です。江戸時代を通じて、大坂は砂糖の流通の中心となり、ここに多くの砂糖問屋が集まりました。

大坂の砂糖問屋は、扱う砂糖の種類によって分類されました。唐薬種問屋は中国やオランダから輸入された「唐紅毛糖」を扱い、最初に成立したこの問屋は享保9年（1724年）に設立されました。薩摩問屋は薩摩藩産の「薩摩黒糖」を扱い、天保2年（1831年）以降は薩摩藩の専売制により問屋を通さずに直接卸売が行われるようになり、薩摩問屋は役割を失うことになります。

和糖問屋は享和年間に設立され、西国産の砂糖を扱うことから「西の砂糖問屋」とも呼ばれました。幕末期には90店余りが西道頓堀堀江河岸を中心に存在しました。和糖問屋は、扱う砂糖の生産元や流通に伴う独特の二重構造を持っていました。生産元に基づいた藩単位の株仲間と、大坂町奉行に管理される全体の株仲間です。

明治以降の変化

明治時代に入ると、欧米諸国からの砂糖輸入が始まりました。これにより、輸入品の価格が下がり、国内産の和糖問屋や生産者は経済的打撃を受け、多くの問屋が撤退を余儀なくされました。特に、和糖の価格競争力が大幅に失われ、多くの商業施設が存続の危機に直面することになります。これに伴い、江戸時代の豊かな文化が反映された砂糖問屋の存在も次第に薄れていきました。

砂糖問屋は、砂糖の流通と商業活動の重要な一部であり、江戸時代の食文化や経済に深く関わっていました。その歴史を知ることは、当時の社会や経済の動向を理解する一助となるでしょう。

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