大坂町奉行

大坂町奉行：江戸時代の大阪を治めた幕府の役職

大坂町奉行は、江戸幕府が大阪に設置した重要な役職でした。幕府の直接支配下にあり、大阪城下（大坂三郷）と摂津国、河内国の行政を担っていました。元々は「大坂郡代」と呼ばれていましたが、後に「大坂町奉行」と改称されました。

奉行所の組織と役割

大坂町奉行所は東と西の二つの奉行所からなり、それぞれ「東の御番所」「西の御番所」と呼ばれていました。江戸町奉行と同様、東西の奉行所は1ヶ月交代で勤務する月番制を採用していました。奉行は、1000石から3000石程度の旗本から選ばれ、役高1500石と役料600石（現米支給）を受け取り、従五位下に叙任されるのが慣例でした。ただし、300石からの抜擢例もありました。東西それぞれに1名ずつ奉行が配置されていましたが、元禄9年から15年までの間は、堺町奉行を兼務する3人目の奉行が一時的に設置されていました。

大坂町奉行の職務は、当初は大阪城下と周辺地域の支配が中心でしたが、時代が下るにつれて、その権限は拡大していきました。具体的には、糸割符仲間や蔵屋敷の監督などの大坂経済関連の業務、幕府領となった兵庫津や西宮の民政、摂津・河内・和泉・播磨の幕府領における年貢徴収と公事の取り扱い（享保7年以降）などが含まれるようになりました。つまり、大坂町奉行は、大阪という大都市の行政と経済、そして周辺地域の支配を担う重要な役割を担っていたのです。

奉行所の所在地と変遷

当初、東西両奉行所は大阪城北西の京橋口西方（現在の大阪市中央区大手前）に隣接して設置されていました。しかし、享保9年（1724年）の大火で両奉行所は焼失してしまいます。その後、東町奉行所は元の場所に再建されましたが、西町奉行所は本町橋東詰の米蔵跡（現在の大阪市中央区本町橋）に移転・再建されました。明治時代以降、両奉行所跡地は、陸軍病院、大手前病院、大阪合同庁舎、大阪府庁舎、大阪府立貿易館、マイドーム大阪、大阪商工会議所など、様々な施設として利用されています。

奉行所の役人：与力と同心

東西それぞれの奉行所には、与力30騎と同心50人が配属されていました。与力は80石（知行高200石）、同心は10石3人扶持の給与を受け、与力は500坪、同心は200坪の屋敷地を拝領しました。与力は、新人はまず初御目見・御用日見習から始まり、番入を務め、定町廻から始まり年功序列で昇進していきました。当時の大坂の武士の名鑑『浪華御役録』や『役人鑑』には、多くの与力の役職が記載されています。一つの役職に2～10人の与力が担当しており、これは一人複数役を兼務したり、与力の子を早くから見習として働かせたことによるものでした。病気や江戸への護送、業務の多忙などにより人手が不足する際は、仮役や定仮役という暫定的な役職を設け、他の与力に兼務させることもありました。また、「迎方与力」「御館入与力」「立入与力」など、特別な役割を担う与力もいました。

町奉行の業務：訴訟の審理

大坂町奉行所は、民事訴訟の審理も行っていました。審理を行う日を「御用日」、特に金銭貸借に関する訴訟を扱う日を「御金日」と呼び、毎月8回設定されていました。訴訟は、摂津・河内・和泉・播州の四カ国だけでなく、西日本各地からも持ち込まれていました。大坂が全国各地からの物資が集まる拠点であったことを示しています。

奉行の交代

新任奉行が任命されると、既存の与力の中から「迎方与力」が選抜され、新任奉行を迎えに行きます。奉行の交代に際し、一方の奉行が空席になった場合、その奉行所の与力と同心は、一時的にもう一方の奉行の管理下に置かれました。

歴代大坂町奉行一覧

（ここでは、本文に記載されている膨大な歴代奉行の名前と在任期間は省略します。必要であれば、別の資料を参照ください。）

まとめ

大坂町奉行は、江戸幕府による大阪支配の中枢として、大阪の行政、経済、そして周辺地域の支配において重要な役割を果たしました。その組織、役割、そして歴代奉行たちの活動は、江戸時代の大阪を知る上で欠かせない要素となっています。 この記述は、既存の文献を参考に作成されていますが、詳細な情報については、歴史書や専門文献を参照することをお勧めします。

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