研三 (航空機)

研三（けんさん）

研三は、東京帝国大学航空研究所が基本設計し、川崎航空機が製造を担当した日本陸軍の高速研究機です。試作番号はキ78で、主に研究用の一号機「研三中間機」と速度記録用の二号機が計画されていましたが、太平洋戦争の影響により二号機は製作されませんでした。通常、「研三」と言えば一号機を指します。

開発の背景

1939年、陸軍は高速戦闘機の開発に向けて、世界速度記録の更新を目指す機体の研究を航研に依頼しました。その結果、航研は700 km/hを目指し、一号機を「研三中間機」として設計することに決定しました。1940年から設計が始まり、1942年に試作機が完成しました。

技術的特徴

エンジン

研三のエンジンは、最高速度700 km/hを達成するために重要な役割を果たしました。ダイムラー・ベンツ DB 601をベースに改造を行い、出力を1,550馬力に上げることに成功しました。これにより、推定最高速度686 km/hが可能となりました。また、排気エネルギーを利用した推力排気式の排気管を採用し、軽量化にも寄与しました。

主翼

主翼には、層流翼型を採用し、空気抵抗の軽減を図りました。親子式フラップを用いることで、着陸速度を抑える工夫がなされ、非常に高い機体安定性を実現しました。

ラジエーターと冷却システム

研三は胴体両側にラジエーターを配置し、冷却性能を確保していました。エンジンフェアリングも冷却機能を兼ねており、設計が非常に工夫されています。

キャノピー

風防は曲面構成で作られ、空気抵抗を軽減しましたが、視界の問題から実際の試験ではほとんど外された状態で行われました。

飛行試験

1942年12月に初飛行を果たしましたが、いくつかの不具合が発生しました。以降の試験でも改修が必要でしたが、最終的には計器指示速度682 km/hを記録し、日本のレシプロ機の中で最速となる699.9 km/hを達成しました。

戦後の運命

研三は戦後、進駐軍により破壊されましたが、その後に関連する映画フィルムや模型展示が行われ、多くの人々にその名を知られることとなりました。

まとめ

「研三」は、日本の航空史における重要な機体であり、その設計と技術は後の航空機開発に多大な影響を与えました。特に、速度記録や飛行特性に関する試みは、当時の技術を集大成したものと言えるでしょう。

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