破れたハートを売り物に

アルバム『破れたハートを売り物に』の詳細

1981年にリリースされた甲斐バンドのオリジナルアルバム『破れたハートを売り物に』は、バンドのキャリアの中でも特に重要な作品です。アルバムの制作時には、タイトル曲だけに120時間をかけ、全体で24曲の録音におよそ1100時間という膨大な時間が投じられました。その結果、9曲が厳選され、バンドの望む理想的なサウンドに到達するために数々の苦労があったことが、当時の音楽雑誌でも語られています。

このアルバムは、甲斐バンドの魅力を凝縮した作品であり、ジャンルを超えた多様な影響を受けた楽曲が収録されています。例えば、「破れたハートを売り物に」はアルバムの象徴的な曲で、さまざまな感情を見事に表現しています。この楽曲は、甲斐よしひろの独特な歌声と力強いメロディが印象的で、多くのリスナーの心に深く響きました。

アルバム収録曲と共作

本作には以下のトラックが収められています。全曲の作詞と作曲は甲斐よしひろが手掛け、編曲には甲斐バンドと椎名和夫が関与しています。特に印象的な収録曲をいくつか挙げると、
1. 破れたハートを売り物に - アルバムのタイトル曲であり、非常に高い評価を受けている。
2. ランデヴー - バラード調の曲で、切ない情景が浮かび上がる。
3. ダイナマイトが150屯 - 別の作詞家による楽曲で、小林旭のカバー。
4. 奴（ギャンブラー） - 提供した楽曲を自身で再解釈したトラック。
5. 観覧車 - 次作『虜-TORIKO-』に収録されるバージョンの前身。

これらの楽曲はそれぞれ異なる表現があり、アルバム全体のバランスを取る役割も果たしています。

製作秘話とリマスター

『破れたハートを売り物に』の製作には多くの試行錯誤があり、特に音作りには相当の手間がかけられました。その後、1983年にリリースされた次作『虜-TORIKO-』で、甲斐よしひろはニューヨークでのミキシングを行います。この時、初めて本作の「破れたハートを売り物に」を再ミックスした際には、彼が感動して涙を流したとのエピソードも残っています。

さらに、2007年には本作がデジタルリマスターされ、紙ジャケット仕様で復刻されました。この際には、ボーナストラックとして「暁の終列車」や「プライベートルーム・ヴァージョン」が追加され、より広がりを持った内容となりました。

映画との関連

また、このアルバムを基にしたオムニバス映画『破れたハートを売り物に』が2015年に公開されました。作品は5つの短編から構成され、甲斐よしひろ自身も本名で出演する姿が見られるなど、音楽との密接な関係を感じさせる内容です。多くのファンが楽しめるよう、映画とライブ中継を組み合わせた形式での公開となりました。

甲斐バンドの音楽は、単なるメロディーや歌詞だけでなく、聴く人の心を打つストーリーが詰まっています。『破れたハートを売り物に』はその象徴とも言える作品で、世代を超えて多くの人に親しまれ続けています。

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