破れ太鼓

映画『破れ太鼓』について

『破れ太鼓』（やぶれだいこ）は、1949年に公開された木下惠介監督が手がけた日本映画で、松竹が製作した作品です。この映画は黒と白の映像で描かれ、芸術祭にも参加しました。横暴で頑固な家庭の父、津田軍平を中心に展開される家族の葛藤を描いています。映画はその後、たびたびテレビドラマとしてもリメイクされています。

あらすじ

映画は、津田軍平という男の物語から始まります。彼は一代で大きな財を築きましたが、その反面、家庭内ではその成功を傘にきた横暴さを発揮します。軍平の妻と6人の子供たちは、彼の権威に対して絶対的な服従を強いられており、家政婦たちもこの状況に耐えきれず、次々と辞めていきます。

この不満がある日ついに爆発し、長女の秋子は父が決めた政略結婚に反発し、実家を出ることを決意します。また長男の太郎も、父の会社を辞めて叔母と共にオルゴールの製造を始めるため家を離れるなど、それぞれの子供たちが家族の束縛から解放されようと奮闘する様子が描かれています。

最終的に家族は次男の平二だけになり、彼が父と向き合うことで物語はクライマックスを迎えます。この作品は、家族の絆や個々の自由、そして父権的な権威への抵抗をテーマにしています。

スタッフ

この作品の製作に関与したスタッフは多岐にわたります。監督であり脚本を担当したのは木下惠介で、他にも小林正樹が脚本に携わっています。撮影は楠田浩之、照明は寺田重雄が担当し、音楽には木下忠司が起用されました。俳優たちも個性豊かな演技を見せ、津田軍平役を阪東妻三郎が務めました。

出演者

映画には多くの名優が出演しています。軍平の妻である邦子役は村瀬幸子が演じており、長男の太郎には森雅之、次男の平二には木下忠司が起用されています。また、長女の秋子役には小林トシ子が名を連ねています。家族や家政婦たちを含め、多彩なキャストがこの家族のドラマを彩っています。

テレビドラマ化

『破れ太鼓』は、原作としてテレビドラマにも数回適用されています。初めは1958年に放送され、その後も1962年、1964年、1965年、そして1974年にそれぞれ異なる版として制作されました。これらのドラマ版本は、映画の要素を受け継ぎながらも、それぞれの時代に合わせたアプローチで作られています。

特筆すべきは、1974年に放送された「天下のおやじ」で、これは原作である『破れ太鼓』を基にしたもので、多くの視聴者に親しまれました。各ドラマ版も、オリジナルのテーマである家族の絆や葛藤を見事に表現しています。

このように、映画『破れ太鼓』は、単なる過去の作品ではなく、さまざまな形で受け継がれ続けるメッセージを持った作品だと言えるでしょう。家族の複雑な関係や、個々の意志を尊重することが重要であるという普遍的なテーマは、時代を超えて多くの人々の心に響くものです。

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