碁盤忠信 源氏礎

碁盤忠信 源氏礎

『碁盤忠信 源氏礎』（ごばんただのぶ げんじいしずえ）は、1909年（明治42年）12月1日に公開された日本の初期映画です。横田商会が製作・配給を担当しました。

概要

この作品は、日本初の職業映画監督とされる牧野省三が手掛けた7作目の監督作品であり、同時に、日本初の映画スターと称された尾上松之助の映画デビュー作としても歴史的な意義を持っています。牧野省三は、1908年（明治41年）に横田商会からの依頼で映画製作を開始し、『本能寺合戦』を第一作として、歌舞伎役者たちを起用した映画を次々と制作しました。

本作の原作は、歌舞伎・狂言作者である河竹黙阿弥の『千歳曾我源氏礎』で、その中でも特に人気のある演目『碁盤忠信』から、「吉野山雪中」と「小柴入道宅」の二つの場面を映画化しています。主演には、当時千本座の座付き役者であった尾上松之助が抜擢され、彼の記念すべき映画デビュー作となりました。

撮影は1909年（明治42年）10月17日に行われ、千本座の夜間興行に影響が出ないよう、千本座近くの大超寺で早朝から夕方までかけて行われました。撮影されたフィルムは約700尺で、同年12月1日に横田商会特約館の富士館で公開されました。この作品を機に、牧野省三と尾上松之助はコンビを組み、数多くの映画を製作することになります。

ストーリー

原作の歌舞伎『千歳曾我源氏礎』から、特に見どころである「吉野山雪中」と「小柴入道宅」の二場を映像化しています。雪の降りしきる吉野山を舞台にした場面や、小柴入道の屋敷を舞台にした場面など、歌舞伎ならではの美しい情景やドラマチックな展開が、当時の撮影技術でどのように表現されているのかが見どころです。

キャスト

佐藤忠信：尾上松之助
源義経：片岡市太郎
小車：尾上梅暁
覺範：嵐橘楽

スタッフ

監督：牧野省三
製作：横田商会

作品の意義

『碁盤忠信 源氏礎』は、日本映画の黎明期における重要な作品であり、牧野省三と尾上松之助という二人の才能が出会った記念碑的な作品です。歌舞伎を題材にした映画がどのように作られていたか、当時の映画製作の様子を知ることができる貴重な資料と言えます。また、尾上松之助の初主演作として、彼の後の活躍を予感させる作品としても評価されています。

外部リンク

碁盤忠信源氏 礎 - 日本映画データベース
Goban Tadanobu - IMDb（英語）

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