横田商会

横田商會について

横田商會（よこたしょうかい）は、1903年（明治36年）に京都で設立された映画会社です。設立当初は「横田兄弟商会」という名称でしたが、後に「横田商會」に改称されました。この会社は、日本映画の黎明期において非常に重要な役割を果たしました。

創業から映画製作開始まで

横田商會の創業者である横田永之助は、1897年（明治30年）にリュミエールのシネマトグラフ興行に関わったことがきっかけで、映画の世界に足を踏み入れました。その後、パリ万国博覧会で新たにシネマトグラフを持ち帰り、再び興行を開始。1903年（明治36年）には、兄とともに「横田兄弟商会」を設立し、映画の輸入・配給事業を開始しました。

同社は、フランスから輸入したドキュメンタリーフィルムを公開し、1905年（明治38年）には現像所を開設して自社での現像を開始するなど、事業を拡大しました。1907年（明治40年）には、大阪の「角座」や東京の「錦輝館」と特約を結び、映画興行を開始し、同年には大阪の千日前に映画専門劇場「千日前電気館」をオープンさせました。これは、浅草に次ぐ国内2館目、関西初の映画専門劇場でした。

劇映画の製作

1908年（明治41年）になると、横田商會は劇映画の製作に乗り出します。まず、同社の撮影技師であった福井繁一を監督に起用し、初の劇映画『いもりの黒焼』を製作しました。さらに、京都で興行を行っていた牧野省三に映画製作を依頼、牧野はこれを受けて日本初の時代劇映画『本能寺合戦』を監督しました。この作品は、中村福之助と嵐璃徳を主演に迎え、小川真喜多が撮影を担当しました。

横田商會は、1910年（明治43年）に初の撮影所である「横田商会二条城撮影所」を設立しました。これは、日本映画史上4番目の撮影所です。同年には、牧野省三が尾上松之助を発掘し、『碁盤忠信源氏礎』に主演させ、日本初の映画スターを誕生させました。

1912年（明治45年）には、グラスステージを備えた「横田商会法華堂撮影所」を新たにオープンしましたが、同年には福宝堂、吉沢商店、M・パテー商会との合併により、「日本活動写真株式会社（日活）」が設立されました。横田商會の撮影所は「日活関西撮影所」として引き継がれ、横田永之助は後に日活の社長に就任しました。

主なフィルモグラフィー

いもりの黒焼（1908年）監督：福井繁一
本能寺合戦（1908年）監督：牧野省三
碁盤忠信源氏礎（1908年）監督：牧野省三、主演：尾上松之助
忠臣蔵（1910年）監督：牧野省三、主演：尾上松之助
金色夜叉（1912年）原作：尾崎紅葉

関連事項

牧野省三
尾上松之助
映画スタジオ
* 日活

横田商會は、黎明期の日本映画界において、映画製作、興行、人材育成の面で重要な役割を果たしました。特に、牧野省三との協力関係は、日本映画の発展に大きく貢献しました。同社が製作した作品は、現在ではほとんど現存していませんが、その功績は日本映画史に深く刻まれています。

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