碑文谷創

碑文谷 創

碑文谷 創（ひもんや はじめ、1946年1月19日 - ）は、岩手県一関市で生まれ、宮城県仙台市で育ったジャーナリストです。主に「死」と「葬送」の文化をテーマに、報道、評論、講演活動を行っており、「葬送ジャーナリスト」「葬送評論家」として広く知られています。

若年期：全共闘運動の時代

彼のキャリアは、現在の活動とは大きく異なるものでした。東京神学大学を卒業後、同大学大学院修士課程に進学しますが、後に中退します。大学院在籍中に、日本基督教団内部の対立（教団闘争）に関連して、東京神学大学の全学共闘会議を牽引し、東神大闘争の中心的なリーダーとして活動しました。1971年1月25日には、闘争の終結に際して、関係者や社会、そして自らにも向けられたとされる『東京神学大学全学共闘会議・解散宣言』を発表しています。この大学院時代に、「碑文谷創」という筆名で執筆活動を開始しました。

2012年8月には、彼が20代であった1969年6月から1972年6月にかけて発表した全ての論稿を網羅した『キリスト教界と東神大闘争　碑文谷創全発言録』（論創社）を上梓しました。この書籍には、前述の『解散宣言』も収められており、当時の思想や活動の記録として重要な資料となっています。

葬送ジャーナリストとしての活動

28歳で一度筆を置き、出版社での勤務を経て、1990年に表現文化社を設立します。この会社で、再び「碑文谷創」の名義で、死や葬送を主題とした執筆活動を再開しました。表現文化社の清算が行われた2016年10月まで、隔月刊誌『SOGI』の編集長を務め、葬送文化に関する様々な情報発信を行いました。

彼が著した『葬儀概論』は、初版以降、版を重ね、現在の四訂版は葬祭ディレクター技能審査の公式テキストとして採用されるなど、実務の現場でも重要な位置を占めています。葬儀に関する実践的な知識や文化的な背景を解説したこの書籍は、多くの専門家や関係者に読まれています。

また、1994年に日本遺体衛生保全協会が設立された当初から、同協会の顧問を務めており、遺体の衛生的な保全に関する啓発や専門知識の普及にも貢献しています。

その活動は、単に葬儀の手順を解説するにとどまらず、日本における「死」に対する意識や、変わりゆく葬送のあり方について、深く考察し、社会に問いかけるものです。全共闘時代の社会批判の視点は、その後の死や葬送という普遍的なテーマへの取り組みにも影響を与えていると考えられます。

主な著作一覧

単著

『「お葬式」の学び方』（講談社、1994年）
『葬儀概論』（表現文化社、初版1996年、改訂版2003年、増補3訂版2011年） - 4訂版は葬祭ディレクター技能審査協会より2020年に発行
『死に方を忘れた日本人』（大東出版社、2003年）
『社葬 - 準備と対策のすべて』（出版文化社、2004年）
『新・お葬式の作法 - 遺族になるということ』（平凡社新書、2006年）
『お葬式の後にすること - これだけは知っておきたいこと』（表現文化社、2006年）
『お葬式って何? - もしもの時にあわてないために』（表現文化社、2006年）
『「お葬式」はなぜするの?』（講談社+α文庫、2009年)
『Q&Aでわかる葬儀・お墓で困らない本』（大法輪閣、2009年）
『キリスト教界と東神大闘争　碑文谷創全発言録』（論創社、2012年）

共著

『パウロをどうとらえるか』（荒井献編、新教出版社、1972年）

編書

『愛しき人を偲ぶ - 私のお葬式体験』（講談社、1995年）

監修

『生前から考え、準備しておく自分らしい葬儀』（小学館、1998年）
『いざというときにすぐ役立つ葬儀と法要の手帳』（小学館、2001年） - 2006年には視覚障害者支援総合センターより発行
『お葬式 - 臨終から納骨、法要まで』（小学館、2005年）

分担執筆

『遺体衛生保全概論』（佐藤喜宣編、日本遺体衛生保全協会、2012年）

これらの著作や活動を通じて、碑文谷創氏は現代日本社会における「死」と「葬送」に対する向き合い方について、多角的な視点から提言を行っています。

脚注・外部リンク

CiNii - 碑文谷創
碑文谷創事務所（※外部リンクは変更される可能性があります）
* 葬祭ディレクター技能審査協会（※外部リンクは変更される可能性があります）

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