碧螺春

碧螺春（へきらしゅん）とは

碧螺春は、中国を代表する緑[[茶]]の一つで、中国十大銘[[茶]]にも選ばれています。主な産地は江蘇省の太湖に浮かぶ洞庭山です。このお茶は、その独特な形状と香りで知られ、古くから多くの人々に愛されてきました。

碧螺春の由来

碧螺春の起源には、いくつかの興味深い物語があります。清代の随筆『柳南随笔』によれば、洞庭山の碧螺峰には野生の茶樹が生えており、地元の人々がその茶葉を摘んでいました。ある時、娘が茶葉を摘み、持ちきれなくなった分を懐に入れたところ、茶葉が体温で温められ、驚くほど良い香りを放ったため、「人をびっくりさせる香りだ」と言ったとされています。この出来事がきっかけで、このお茶は「吓煞人（人をびっくりさせる）」と呼ばれるようになりました。

その後、清の康熙帝がこのお茶を賞味した際、その香りの素晴らしさに感銘を受けました。しかし、人々がこのお茶を蘇州語で「嚇煞人」と呼ぶことに、その俗っぽさを嫌い、茶葉の色が緑色で、形が螺旋状、そして香りが馥郁（ふくいく）であることから、「碧螺春」と名付けたと伝えられています。それ以降、碧螺春は宮廷で使用されるお茶として重宝されるようになりました。

また、別の説では、碧螺峰という山の名前にちなんで名付けられたとも言われています。いずれにせよ、碧螺春は長い歴史と深い文化を持つお茶であることに変わりありません。

碧螺春の特徴

碧螺春の最大の特徴は、その形状です。茶葉には白い産毛がびっしりと生えており、螺旋状に丸まっているのが特徴です。この産毛が多いほど、風味が高いとされています。他の緑[[茶]]には見られない独特の形状は、碧螺春ならではの魅力と言えるでしょう。

碧螺春の製法

碧螺春の製造工程は、まず茶葉を摘み取るところから始まります。その後、釜で煎ることで茶葉内の酵素による発酵を止め（殺青）、茶葉の味を均等にするために揉捻を行います。最後に、茶葉の水分を取り除く乾燥を行い、碧螺春が完成します。

碧螺春の現状

碧螺春は、その歴史的な背景や独特の風味から、中国国内外で非常に人気があります。しかし、その人気ゆえに、太湖の洞庭山で産出される量をはるかに超える「碧螺春」が市場に出回るようになりました。現在では、太湖周辺だけでなく、江蘇省の他の地域や、他の省でも碧螺春が生産されています。産地によって「洞庭碧螺春」や「安徽碧螺春」などの分類がされることもあります。

特に、清明節前に採取された茶葉を使用した「明前洞庭碧螺春」は最高級品とされ、高値で取引されています。また、品質の良くない碧螺春にジャスミンの香りを付けた「茉莉碧螺」という製品も存在します。

碧螺春の価格は、茶葉の採取時期や部位、殺青や揉捻時の量によって変動します。一般的には、特級、一級、二級に分類されて販売されています。

碧螺春の飲み方

碧螺春の飲み方は、龍井茶などを参考にすると良いでしょう。しかし、碧螺春は特徴的な産毛を持っているため、産毛が気泡を持ちやすく熱湯に沈みにくいという性質があります。このため、茶葉にお湯を注ぐのではなく、透明な茶器にお湯を入れ、後から茶葉を投入し、浮いた茶葉が徐々に沈んでいく様子を眺めながら、香りや味の変化を楽しむ方法が好まれています。ただし、碧螺春に似せて作られた茶葉は産毛を持たないため、お湯に沈みやすいです。このことから、「碧螺春はお湯に沈みやすい」という誤った情報が広まっていることもあります。

碧螺春は、その歴史、製法、風味、そして飲み方に至るまで、多くの魅力を持ったお茶です。ぜひ一度、その奥深い世界を体験してみてください。

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