確証

『確証』（かくしょう）は、日本の作家今野敏による警察小説で、2011年5月から2012年4月まで『小説推理』に連載されました。物語は、警視庁捜査3課に所属するベテラン刑事の萩尾秀一と、彼の部下である若手女性刑事の武田秋穂が中心となり、窃盗事件に立ち向かう姿を描いています。特にこの作品が特徴的なのは、強盗や殺人といった派手な犯罪ではなく、空き巣やひったくりといった地味な盗犯を扱っている点です。これにより、従来の刑事小説とは異なる興味深い視点が生まれています。

本作の発想の核には、常習罪の犯人との知恵比べや、警察内部の温度差が描かれています。萩尾は、長年盗犯専門の刑事として活躍してきたため、彼の仕事ぶりはまさに職人のようで、プライベートは脇に置かれ、仕事の熱意がストーリーの中心となっています。彼は手口捜査に定評があり、日々、様々な窃盗事件の背後に潜む真実を追い続けます。

『確証』は後にテレビドラマとしても映像化され、2013年4月から6月にかけてTBS系列で放送されました。主演は高橋克実と榮倉奈々で、彼らは年齢差のあるコンビとして、実際に協力し合いながら事件に立ち向かいます。ドラマでは捜査3課と捜査1課との緊張感や、それぞれの部隊の特性もリアルに描写されています。

登場キャラクターの中で特に重要なのは、萩尾と武田の関係です。萩尾は部下である武田を厳しく指導しながらも、彼女の成長を見守ります。武田はもともと捜査1課を志望していましたが、捜査3課に配属されたことにやや不安を抱きつつも、萩尾の技術の高さに尊敬の念を抱いていきます。

また、物語には萩尾に情報を提供する老人・迫田や、警視庁捜査一課の田端守雄など、さまざまな登場人物が絡み合い、物語をさらに深くしています。これにより、警察が抱える内部の事情や、人間関係が人間ドラマとして展開され、読者は今までの警察小説にはない新しい視点で楽しむことができます。

さらに、2017年には吉田栄作と内山理名が主演する版も制作され、視聴者に新たな形で物語が届けられることとなりました。

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