磐之媛命

磐之媛命について

磐之媛命（いわのひめのみこと、生年不詳 - 仁徳天皇35年6月）は、古墳時代の皇妃であり、日本書紀では「磐之媛」として、古事記では「石之日売」として記録されています。また、いはのひめ、磐姫とも呼ばれることがあります。彼女は仁徳天皇の4人の后妃の一人で、2人の皇后のうちの一人でもあります。仁徳天皇2年に立后し、葛城襲津彦の娘で武内宿禰の孫にあたることから、皇族の外から皇后になる初めての例とされています。孝元天皇の男系の子孫であり、仁徳天皇の男子である子供たちの母としても知られています。

嫉妬深い性格

古事記や日本書紀において、磐之媛命は嫉妬深い人物として描かれています。仁徳天皇が宮中に他の妾を迎えようとすると、その嫉妬が影響し、他の妾たちが宮中に入ることができなかったという逸話が多数残されています。特に、天皇が八田皇女を後宮に入れた際、磐之媛命は激しく怒り、山城の筒城宮に移って亡くなる結果となりました。古事記下巻の仁徳天皇条には、「太后は嫉妬を持っていたため、妾が宮中に入ることができなかった」との記述があります。

逸話の数々

仁徳天皇が他の女性を好んだことは、磐之媛命の嫉妬を引き起こす要因となりました。古事記には、仁徳天皇が美しい女性・黒日売を見初めるも、磐之媛命の嫉妬が恐れられ彼女が帰国するという物語が描かれています。また、日本書紀には、女官の桑田玖賀媛に特別な関心を寄せたが、磐之媛命の嫉妬が強く手を出せなかったことが記されています。

八田皇女との対立

仁徳天皇が八田皇女を宮中に迎えたことは、特に磐之媛命の怒りを引き起こしました。彼女は豊楽の準備のため紀伊の国に行っている間に、天皇が八田皇女を後宮に迎えたことを知り、その場で全ての料理を海に投げ捨てて帰らなかったとされています。さらに、八田皇女と速総別王の物語も磐之媛命の嫉妬を反映し、最終的に悲劇的な結末を迎えました。

詩の中の愛情

万葉集には、磐之媛命の深い愛情を表す数首の歌が収められています。特に「君が行き日長くなりぬ」という歌では、彼女の期待と愛が感じられます。しかし、同じ人物が詠んだとは信じられず、後の時代の創作とする解釈も存在します。これにより、彼女の人生は時代を超えたものとして、愛と嫉妬に満ちた複雑な側面を象徴するものとなっています。

磐之媛命の物語は、古代の宮廷生活や皇妃の地位、愛や嫉妬の感情が交錯したドラマを表しています。彼女の存在は、歴史の中でどのように記憶され続けているのか、今でも多くの人々の興味を引き続けています。

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