示差屈折率検出器

示差屈折率検出器：HPLC/SEC分析における汎用検出器

示差屈折率検出器（Differential Refractometer、DRIまたはRI、RID）は、試料と参照溶媒の屈折率の差を精密に測定することで、様々な成分を検出する分析機器です。高速液体クロマトグラフィー（HPLC）やサイズ排除クロマトグラフィー（SEC）といったクロマトグラフィー手法において、普遍的な検出器として広く利用されています。

動作原理

光の屈折現象を利用した検出器です。異なる物質内を光が通過する際、その物質の屈折率によって光の進路が変化します。DRIは、試料流路と参照溶媒流路の2つのフローセルを備えています。試料と参照溶媒それぞれの屈折率を測定し、その差を検出信号として出力します。

参照溶媒のみが流路を通過している状態では、両方のフローセルの屈折率は同一です。しかし、試料成分が試料流路を通過すると、試料と参照溶媒の屈折率差が生じ、この差が検出器によって検出されます。この屈折率差は、クロマトグラム上にピークとして現れ、各成分の定量・定性分析に利用されます。

特徴：高い汎用性と感度限界

DRIは、溶媒との屈折率が異なる物質であれば、多くの場合検出可能です。このため、紫外線吸収を持たない物質や、蛍光を発しない物質など、他の検出器では検出が困難な物質に対しても有効です。この汎用性の高さが、DRIが様々な分析分野で活用される理由の一つです。

ただし、DRIの感度は比較的低いと言われています。検出感度を高めるためには、試料濃度を高める、あるいはノイズを低減するための工夫が必要になります。

応用：ポリマー分析における重要な役割

DRIは、特にサイズ排除クロマトグラフィー（SEC）を用いたポリマー分析において重要な役割を果たします。SECでは、分子量の異なるポリマー成分を分離し、それぞれの分子量分布を測定します。DRIは、紫外線吸収などの特性に依存しないため、様々な種類のポリマーの分析に適用可能です。

具体的には、ポリマーの分子量分布の測定、ポリマーブレンドの成分分析、ポリマーの合成反応のモニタリングなどに利用されます。その他にも、糖類やタンパク質などの生体高分子の分析、医薬品分析など、幅広い分野で活用されています。

まとめ

示差屈折率検出器は、その汎用性の高さからHPLCやSECにおける汎用検出器として広く利用されています。感度には限界がありますが、多くの物質を検出できる利点は大きく、特にポリマー分析においては重要な役割を担っています。ただし、分析対象や目的によって最適な検出器を選択することが重要であり、DRIは多くの検出器の一つとして適切な選択となる場合があります。

もう一度検索