示現流

示現流（じげんりゅう）

示現流は、主に薩摩藩を中心に発展した古流剣術であり、その起源は江戸時代に遡る。流派の祖である東郷重位によって創立され、現在は13代目東郷重賢に受け継がれている。この流派の特徴は、一般的な技術の枠を超え、実践的な戦闘能力を重視している点である。

歴史

示現流の創始者、東郷重位は元々タイ捨流を学んでいたが、京都で善吉和尚から天真正自顕流を学び、この二つの流派の利点を巧みに取り入れて新たな体系を構築した。また、「示現流」という名称は南浦文之によって付けられたもので、技術的には天真正自顕流から受け継がれている。それに対する仮想敵としてタイ捨流が設定されている。このような技術の融合によって、示現流はその独自性を強めた。

重位は時の藩主島津家久によって御前試合に出場し、タイ捨流の師範を破って師範役を任されるなど、その実力は折り紙付きであった。2代目には重方、3代目には重利が継承し、特に3代目は藩内で多くの門弟を抱えていた。4代目の実満は、本来は一子相伝を受けるはずだったが、高弟を通じての継承を余儀なくされ、結果として多くの伝承が失われるという試練に直面した。

その後、実満の子である位照や、重位の高弟である薬丸兼慶との関係によって、示現流は再び発展を遂げる。江戸中期には衰退の危機があったものの、実昉が師範となり、実力を持つ流派として再興された。明治以降、示現流は多くの変遷を経るが、現在も鹿児島においてその技術が継承されている。

関東への伝播

示現流は、定期的に他の藩にも伝わった。特に牧野家の笠間への移封に伴い、笠間藩では「笠間示現流」として発展した。この流派も他の地域に影響を与え、現在の土浦市や宇都宮市などでその技術が伝承されている。

琉球での影響

琉球王国でも示現流が広まり、多くの士族によって受け継がれた。特に、阿嘉直識のような琉球士族は薩摩藩士を介さずに示現流を学ぶなど、独自の発展を遂げたとされている。このことは琉球の徒手武術、特に唐手にも影響を与えたとされている。

特徴

示現流の特徴は、「一の太刀を疑わず」または「二の太刀要らず」とされる exceptionallyな斬撃である。その技法は、初撃から全力で勝負をかける「先手必勝」のスタイルが特徴で、初太刀からの連続技も注意深く訓練される。稽古には柞の木の枝を使用した木刀が用いられ、実戦を想定した厳しい練習が行われる。

この流派は、他の流派とは異なり、普段着でも稽古に参加できるというユニークな特徴を持っている。このため、現代の修行者はTシャツやジーンズといったカジュアルな服装で練習することも許可されている。

また、技術の体系は非常に複雑であり、下級武士は相対的に技術の習得が単純な他の流派を選ぶ傾向が見られた。このような背景があるものの、示現流はその実戦性と多様な技術により、多くの門弟を引き寄せている。

幕末期には、新撰組局長・近藤勇が薩摩者との戦いで「初太刀を外せ」と言ったという話があるが、それは示現流への誤解を招くものである。実際には示現流には初太刀以外にも多くの技が存在するため、その評価には注意が必要である。

最後に、示現流は薩摩藩で生まれた武道であり、その技術が現在も生き続けている。特に、警視庁による木太刀形の制定など、現代におけるその影響力はなお強い。このように、示現流は日本の武道史において重要な役割を果たしてきた流派である。

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