礼砲

礼砲（れいほう）

礼砲は、国際的な儀礼において、大砲を使用して敬意を表す行為です。英語では「Gun Salutes」と呼ばれ、大砲の空包を発射する形で行われます。礼砲の歴史は古く、かつては戦闘の際に実弾を使用していたこともありますが、現在は敬意や友好の意を示すために空包を撃つのが一般的です。

歴史と起源

礼砲の起源は、1600年代にさかのぼるとされています。当時、発射する際に実弾を使うことがあり、それによって予期しない事故が発生することもありました。礼砲は、敵意を持たないことを明確に示す手段として発展してきました。初期の大砲では、連射が難しく、加工に手間がかかっていたため、空包を発射することで実弾を使用していないことを証明しました。礼砲が一般的な儀礼として普及する過程で、発射数などの規定が設けられました。

現代の礼砲

現在の礼砲は、儀礼用の火砲を使用することが通例です。多くの国では、儀礼用として古い大砲を保存しており、デンマークの王室では1760年代に製造された大砲が使用されています。一方、アメリカ海軍の記念艦コンスティチューションには、フリゲート時代の大砲が装備され、礼砲射撃に利用されています。また、現役でなかった火砲を再整備して礼砲に使用する国もあります。日本では、陸上自衛隊の特科連隊が礼砲を担当し、公式な場で賓客を迎える際などに行われています。

礼砲の発射数

礼砲の発射数は、受礼者の地位によって異なります。一般的には、元首に対しては21発、副大統領や首相に対して19発、閣僚クラスには17発が行われることが多いです。これは国によって若干の違いがありますが、一部の国では特別な行事の際に異なる数が設定されることもあります。たとえば、イギリスの重要な行事では62発の礼砲が使用されることがあります。全体として、礼砲の発射間隔は通常5秒程度が標準とされています。

日本における礼砲

旧日本軍が行っていた礼砲は、天皇や皇族に対して21発が基本でした。戦後はしばらく礼砲が行われていなかったものの、1958年から自衛隊によって再開され、外国の賓客が訪れた際に行われるようになっています。特に天皇の即位式や葬儀の際には、敬意を表すために21発の礼砲が発射されます。自衛隊は礼砲の実施を正確に行うために、特別な指示と訓練を受けた部隊を編成し、重要な儀式に合わせて礼砲を発射します。

礼砲をめぐるエピソード

1903年、大韓帝国で皇帝の就任40周年式典を行うために礼砲を用意する際、適した軍艦がなく、日本から商船を改装して購入するエピソードがあります。国防予算の4分の1を投じての購入でしたが、機能せず、結局礼砲は実施されなかったという故事があります。

礼砲は単なる軍事的な儀式に留まらず、国際的な友好や敬意を表す重要な行為として、歴史の深い意味を持っています。これからも、多くの国で様々な場面で恒常的に行われていくことでしょう。

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