社会・環境貢献緑地評価システム

社会・環境貢献緑地評価システム（SEGES）

社会・環境貢献緑地評価システムは、通称「SEGES（シージェス）」として知られる、民間企業や団体が自らの所有する敷地内で行っている緑地の整備・保全活動と、それを活用した社会貢献への取り組みを客観的に評価し、認証を与える制度です。この制度は、前身である財団法人都市緑化基金によって2005年度（平成17年度）に創設され、現在は公益財団法人都市緑化機構が運営を担っています。

制度が目指すもの

この評価システムの重要な目的は、民間事業者が行う緑化活動が、単に敷地内の景観を美しくするだけでなく、より広い社会や環境に対して積極的に貢献している点を明らかにし、奨励することにあります。具体的には、都市部における深刻なヒートアイランド現象の緩和、地域固有の生物多様性の保全、人々に安らぎを提供する良好な景観の創出、そして余暇活動や環境学習の場としての機能提供などが評価の対象となります。SEGESでは、緑地の単なる維持管理だけでなく、緑地を活用した環境教育の実施や、地域社会との交流を深める取り組みといった、社会的な役割を果たす活動を含めた場所（サイト）全体を評価対象としています。これにより、緑地が持つ潜在的な価値を最大限に引き出し、持続可能な社会の実現に寄与する民間主導の取り組みを後押しすることを目指しています。

評価と認定の仕組み

評価の対象となるのは、企業の工場や事業所、研究施設、商業施設、大規模な開発区域など、民間企業や団体が管理・運営する様々な場所の緑地です。審査では、緑地の生態的な豊かさ、管理の質、そして地域社会や環境への貢献度などが総合的に評価されます。

認定は五つの段階に分かれています。まず、積極的に緑化活動に取り組み、将来的な社会・環境貢献の向上が期待できるサイトには「Green Stage」が認定されます。さらに、緑地を通じて社会・環境への貢献性が高いと認められるサイトは、その度合いに応じて「Excellent Stage 1」から「Excellent Stage 3」までの三つの段階で評価されます。そして、Excellent Stage 3という高いレベルを継続的に維持し、三回連続で認定を受けたサイトには、最高位の「Superlative Stage」が与えられます。

SEGESの認定を受けたサイトには、正式な認定証が授与され、その年度を示す認定ラベルを対外的に使用することが認められます。これにより、その企業や団体の環境意識の高さや社会貢献への積極的な姿勢を、顧客や地域住民に対して明確に示すことができます。

多様な認定事例

これまでにSEGESによって認定された緑地は、その性質や機能によって多様なタイプがあります。主に、企業の事業所や工場敷地内に整備され、従業員の福利厚生や地域交流にも活用される「そだてる緑」、都市部のビルや商業施設などが提供する公開空地や屋上緑化などで、多くの人々の憩いの場となる「都市のオアシス」、そして大規模な住宅地や商業施設を含む開発事業の中で計画的に創出される「つくる緑」といったカテゴリーのサイトが認定を受けています。

具体的な「そだてる緑」の例としては、三菱電機やトヨタ自動車の広大な敷地内緑地、アサヒビールの工場緑地などがあります。これらは生産拠点や研究施設に併設され、生物多様性保全や環境学習の場としても機能しています。「都市のオアシス」には、大阪のなんばパークスや東京の六本木ヒルズ、恵比寿ガーデンプレイス、GINZA SIXガーデン、JPタワーKITTEガーデンといった、都市の中心部で貴重な緑を提供し、多くの利用者に親しまれている空間が挙げられます。これらの緑地は、都市生活における質の向上に大きく貢献しています。「つくる緑」としては、大規模開発に伴って計画的に整備された品川シーズンテラスやアーバンドックパークシティ豊洲などの事例があります。これらの開発では、初期段階から緑地の社会・環境貢献性が考慮され、地域全体の環境向上に貢献しています。

制度開始後、第一回の認定式は2005年9月5日に愛知県で開催された愛・地球博の会場内で実施されました。これは、環境問題への意識が高まる時代の流れの中で、民間の緑化貢献を社会的に位置づける象徴的な一歩となりました。

SEGESは、民間企業・団体が持つ緑地の価値を多角的に評価し、その優れた取り組みを社会に周知することで、緑を通じた豊かな社会づくりを推進する重要な制度としての役割を果たしています。

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