社会科学部

社会科学部とは

社会科学部とは、政治学、法学、経済学、経営学、社会学といった多岐にわたる「社会諸科学」を、個別の専門分野としてではなく、互いに関連し合うものとして捉え、その相関性を重視しながら探究することを特色とする総合学部です。現代社会が抱える複雑で多層的な課題に対し、一つの分野に留まらない幅広い知識と学際的な視点からアプローチする能力を養うことを教育目標としています。

概説と歴史

海外の大学では、「Faculty of Social Sciences」という名称は広く一般的です。日本国内においても、1950年代頃から、特にキリスト教系の大学を中心に社会科学部が設立されるようになりました。しかし、「社会科学」と「社会学」、「社会科学部」と「社会学部」といった類似した名称から生じる混同は少なくありませんでした。この混同を避けるため、一部の大学では英語名称はそのままに、日本語名称を「国際社会学部」や「総合政策学部」といった呼称に変更する例も見られました。

「社会学部」との関係

興味深いことに、国内の多くの大学に設置されている「社会学部」の中には、その英語名称を「Faculty of Social Sciences」としている例が見られます。これは、単に狭義の「社会学（Sociology）」のみを扱うのではなく、多様な社会諸科学を総合的に学ぶ場であることを示唆しています。実際、大学によっては、社会学部でありながら政治、経済、経営といった分野もカリキュラムに含め、実質的に社会科学部あるいは社会科学総合学部と呼べるような教育内容を提供しています。このため、学部名称だけでなく、各大学のカリキュラムや教育内容を確認することが重要となります。

学びの特徴と進路

社会科学部で学ぶ大きな特徴は、法学、経済学、経営学、会計学などをはじめとする多様な分野を広く深く学べる点にあります。この幅広い知識習得は、卒業後の多様な進路選択肢につながります。

資格試験

社会科学部で培われる知識は、公認会計士や税理士といった高度な専門資格を目指す上で非常に有利となります。これらの資格試験で問われる経済学、経営学、会計学、法学といった分野は、社会科学部で学ぶ中核的な内容と強く関連しています。

公務員採用試験

国家公務員として、国民生活に深く関わる仕事を目指す学生も多くいます。特に、国の財政や税務を専門とする財務専門官や国税専門官といった職種は、社会科学部で学ぶ分野と親和性が高く、人気の進路の一つです。国税専門官は、一定期間勤務することで税理士資格が付与される制度もあります。

その他

その他にも、金融機関、コンサルティングファーム、一般企業の企画・経営部門、報道機関、非営利組織（NPO）など、社会科学部で培った幅広い視野と分析力、問題解決能力を活かせる分野は多岐にわたります。

社会科学部および類似学部を設置する主な大学

社会科学部を設置

早稲田大学
吉備国際大学

類似の教育内容を持つ学部（一部例）

一橋大学（社会学部 - 英称: Faculty of Social Sciences）
東京大学（教養学部後期課程 相関社会科学コース）
東洋大学（社会学部）
法政大学（社会学部）
立教大学（社会学部）
学習院大学（国際社会科学部）
千葉大学（法政経学部）
大東文化大学（社会学部）

関連事項

社会科学部を卒業すると、学士（社会科学）の学位が授与されるのが一般的です。また、大学院ではMaster of Social Science（社会科学修士）といった学位を目指すことも可能です。関連分野としては、政治経済学などが挙げられます。

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