国税専門官

国税専門官とは

国税専門官は、税務署、国税局、国税庁に勤務し、税務行政を執行する国家公務員です。大学卒業程度の学力を必要とする試験を通過した者が採用されます。税のスペシャリストとして、適正な課税と徴収を実現するために、専門的な知識とスキルを駆使して職務にあたります。

国税専門官の職種

国税専門官の主な職務は、以下の3つに分類されます。

1. 国税調査官：納税者が提出した確定申告書などを基に、申告内容が適正かどうかを調査します。不備や不正を発見した場合には、是正を求めます。
2. 国税徴収官：納期限を過ぎても納付されていない税金を徴収します。滞納者の財産を差し押さえたり、競売にかけるなどの強制的な措置も行います。
3. 国税査察官：脱税などの悪質な租税犯罪を摘発します。裁判所の令状に基づき、強制調査を行い、脱税犯を検察に告発します。いわゆる「マルサ」として知られています。

国税専門官採用試験

国税専門官になるには、人事院が実施する国税専門官採用試験に合格する必要があります。この試験は、大学卒業程度の学力を測るもので、難易度は高いとされています。試験は、一次試験と二次試験に分かれており、専門知識だけでなく、一般教養や人物評価も重視されます。

採用実績のある大学

全国の国税局所在地にある国立[[大学]]や公立[[大学]]からの採用者が多い傾向にあります。私立大学では、早慶、MARCH、関関同立などの難関大学からの採用が多く見られます。また、財務省（国税庁）には出身大学別の校友会が存在し、大学によっては業務説明会等の広報活動も行われています。

法学部の役割

税法は法律の一分野であるため、法学部出身者は、租税法の専門家として国税専門官の職務で活躍しています。特に、明治時代から租税法研究の中核を担ってきた五大法律学校（専修大学、明治大学、法政大学、早稲田大学、中央[[大学]]）や、慶應義塾大学、東京大学などの卒業生が多く見られます。法学部以外でも税法を研究している大学もあり、多様なバックグラウンドを持つ人材が国税専門官として活躍しています。

国税専門官の研修制度

国税専門官は、採用後に税務大学校で専門的な研修を受けます。研修は、基礎研修と専科研修の2段階に分かれており、税法や会計学などの専門知識や、税務職員としての実務能力を習得します。研修の成績は、その後のキャリア形成にも影響します。

基礎研修

採用後、約3ヶ月間の基礎研修を受けます。税法や会計学の基礎知識、税務職員としての心構えなどを学びます。

専科研修

約3年間の実務経験後、約7ヶ月間の専科研修を受けます。税法や会計学の専門知識をさらに深め、税理士資格の取得に必要な知識を習得します。専科研修は税理士法に定める指定研修であり、修了試験に合格することで、税理士試験の一部が免除されます。

その他の研修

専門官基礎研修のほか、選考により、専攻科、国際科などの長期研修を受講することもできます。また、研究科では、研究員としてさらに専門的な知識や研究能力を磨くことができます。

国税専門官のキャリアパス

国税専門官は、税務署や国税局で実務経験を積みながら、昇進を目指します。研修の成績や実務能力によっては、国税庁や財務省などの本省庁で勤務することもできます。また、財務局長などの幹部を目指すことも可能です。

キャリアアップ

大多数は、税務調査や徴収などの実務に従事します。能力に応じて、上席国税調査官、統括国税調査官などへと昇進していきます。また、税務署長や国税局の幹部を目指すことも可能です。

その他のキャリア

研修成績が優秀な者は、理財局など国税以外の分野で活躍する道も開かれます。また、海外勤務や他省庁への出向など、多様なキャリアパスが用意されています。

国税専門官と公認会計士試験

国税専門官の仕事は、公認会計士の実務経験として認められるため、多くの公認会計士試験受験生が国税専門官採用試験を受けています。税務調査の実務は、会計監査の実務にも通じるところがあり、両資格の相性は良いと言えます。

その他

国税専門官は、税のスペシャリストとして、社会の公平性を守る重要な役割を担っています。税の知識を活かして社会に貢献したいという意欲のある方にとって、魅力的な職業と言えるでしょう。

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