祖珽

祖珽（そ てい、生没年不詳）は、中国北斉時代の宰相であり、字を孝征といいました。范陽郡遒県（現在の河北省保定市淶水県）を本貫とする名門出身です。北斉において、勲貴勢力と恩倖（皇帝の寵愛を受けた者たち）の間にあって、門閥文官勢力を代表する人物でした。

生涯

父は北魏の護軍将軍であった祖瑩であり、名門に生まれ育ちました。彼は、秘書郎に任じられたのを皮切りに、順調に昇進を重ねていきます。その過程で、恩倖として皇帝の寵愛を受けていた和士開と結びつき、武成帝からの信任を得て、秘書監・儀同三司という要職に就くことになります。

しかし、祖珽は和士開を排除しようと画策しますが、これは失敗に終わります。その結果、彼は投獄され、視力を失ってしまうという悲劇に見舞われます。しかし、その後再び朝廷に用いられ、和士開が誅殺された後には、後主のもとで尚書左僕射として朝政を掌握するまでに権力を回復しました。

権力を掌握した祖珽は、名将として名高い勲貴の斛律光を陥れ、殺害するという大胆な行動に出ます。これは、彼の権勢を確固たるものとするための策略であったと考えられます。

その後、再び恩倖を排除しようと試みますが、これも失敗に終わり、北徐州刺史に左遷されることになります。しかし、左遷先で陳からの攻撃を受けた際、彼は空城計を用いて見事に敵を防ぎ、その能力を再び示すこととなりました。その後、同地で生涯を終えたとされています。

祖珽には、祖君彦という息子がいました。

祖珽を題材とした作品

祖珽は、小説やドラマなどの創作作品にも登場しています。

田中芳樹『蘭陵王』：この作品では、奸臣と結びつきながらも、儒教理念に基づく漢人国家の再興を目指すという複雑な人物として描かれています。
中国と台湾の共作ドラマ『蘭陵王』：このドラマでは、主人公である高長恭（蘭陵王）を陥れようとする高緯（後主）の側近として、様々な策略を練る悪役として描かれています。

典拠資料

祖珽に関する記述は、以下の史書に見られます。

* 『北斉書』巻50 補列伝第31 崔季舒 祖珽

祖珽は、北斉という激動の時代において、その才覚と権謀術数をもって朝廷を舞台に活躍した人物でした。彼の生涯は、北斉の歴史を語る上で欠かすことのできない重要な要素となっています。

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