神の左手悪魔の右手

神の左手悪魔の右手

『神の左手悪魔の右手』は、日本の著名なホラー漫画家、楳図かずおによる記念碑的な作品です。本作は1986年から1989年まで『ビッグコミックスピリッツ』（小学館）で連載され、独特な恐怖の世界を描いています。また、特別短編として「おふだ」も収録されており、その内容は独特のスプラッター要素を含んでいます。2006年には実写映画化され、ホラー作品としての地位を更に確立しました。

概要

本作の特徴は、純粋なホラーエンターテインメントとして、読者に不気味さや緊張感を提供する点です。物語は五つの独立したエピソードから成り立ち、各話は互いに直接の関係は薄いものの、徐々に物語の主軸となる存在「ヌーメラウーメラ」の詳細が明らかになっていきます。これにより、最初は単独の物語に見えるエピソードが、全体として一貫性のある恐怖世界を形作ります。

主な登場人物

山の辺想（やまのべ そう）

物語の主人公である小学生の想は、夢と現実が繋がる不思議な能力を持っています。彼は頻繁に悪夢に悩まされており、周囲からは弱虫やホラ吹きと見なされています。しかし、実際には恐怖に直面する際に隠された勇気を発揮します。その能力は時に制御不能となり、無意識のうちに周囲を巻き込むこともあります。

ヌーメラウーメラ

「想の正体」と称する神霊的存在で、彼女は「神の左手」と「悪魔の右手」を持ちます。神の左手は癒しと救いを、悪魔の右手は攻撃と滅亡を象徴しています。作中では圧倒的な力を持ち、死者の蘇生さえ可能とされており、想の夢の中で彼女の姿を映し出します。

山の辺泉（やまのべ いずみ）

想の姉であり、霊的な力は持たないものの、想と密接な関係にあります。彼女は想の夢の話を信じていないものの、兄弟の絆は強い。さまざまな事件に巻き込まれつつも、想を助ける姿勢を見せます。

各エピソードの概要

本作は五つのホラーエピソードを通じて展開され、以下のような内容が描かれます。

• - HORROR/1「錆びたハサミ」: 呪われたハサミを拾ったことから、想の姉が襲われる恐怖劇。
• - HORROR/2「消えた消しゴム」: 死者の正体を現す噂から始まる、疑心暗鬼な展開。
• - HORROR/3「女王蜘蛛の舌」: 蜘蛛女が想を追い詰め、高品を守ろうと奮闘する。
• - HORROR/4「黒い絵本」: 優しい父親の裏の顔に迫る、ドキリとさせる物語。
• - HORROR/5「影亡者」: 邪悪な霊に憑かれた少女の物語で、想がその運命に立ち向かう。

映画化

2006年には『神の左手悪魔の右手』というタイトルの実写映画が公開されます。元々那須博之が監督を担当する予定でしたが、急死のため金子修介へと引き継がれました。この映画は「黒い絵本」を基にし、キャラクターたちの深い関係性や繊細な心理描写が映像化されています。

関連作品

本作には特別短編「おふだ」や、多くの参考資料が存在します。これにより、楳図かずおのホラーの世界観はより深く楽しむことができるでしょう。読者や視聴者に恐怖と興奮をもたらし続けるこの作品は、日本のホラージャンルにおいて欠かせない存在となっています。

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