神奈川大学日本常民文化研究所

神奈川大学日本常民文化研究所について

神奈川大学日本常民文化研究所（以下、常民文化研究所）は、神奈川県横浜市神奈川区六角橋に位置する教育機関で、神奈川大学の附置研究所として日本の民衆文化に関する包括的な研究を行っています。この研究所は、独自の視点から日本の文化、生活、歴史を探求することを主な目的としており、特に漁業制度史や民具研究に焦点を当てています。

歴史と沿革

常民文化研究所の起源は、1921年に遡ります。この年、日本の民俗学者かつ実業家であった渋沢敬三がアチック・ミューゼアムを設立したことから始まりました。このミュージアムは、民衆文化に関する資料や民具を収集・調査することを目的としていました。1942年には「日本常民文化研究所」と名前が改められ、その後も続く研究活動の基盤が築かれました。

1949年になると、水産庁から水産資料の調査や保存を委託され、月島分室が設けられます。その後、1950年には財団法人として再編成され、さらに1955年には月島分室が閉鎖されるなどの変遷を経ました。1968年、設立者の渋沢敬三が亡くなると、研究所はさらなる展開を迎え、1968年には『民具マンスリー』が創刊されました。

1982年には、常民文化研究所が神奈川大学内に移管され、これ以降、大学の一部として活動を続けています。1986年からは『歴史と民俗』という論集が刊行され、研究成果を広く発信しています。また、1992年には神奈川大学院歴史民俗資料学研究科が設立され、さらに学びの場が広がりました。2003年には「人類文化研究のための非文字資料の体系化」が文部科学省の「21世紀COEプログラム」に採択され、これによって研究の幅が一層広がりました。

研究内容

常民文化研究所では、民衆文化に関連するさまざまなテーマを対象にした研究が進められています。漁業制度や民具についての研究が特に中心となっており、歴史的な視点から民衆の生活様式や文化的慣習を深く掘り下げています。また、非文字資料の調査研究や文書に残されていない文化の記録も重要な研究テーマです。

さらに、同研究所は国際的な視野を持っており、世界の民俗学や文化人類学との関連性にも注目しています。国内外から多くの著名な研究者が集まり、研究を進めることで、日本の民衆文化の重要性を再認識する機会を提供しています。

著名な研究者

常民文化研究所には、多くの著名な研究者が関与しており、彼らの研究成果は国内外で高く評価されています。アチック・ミューゼアム時代からの研究者には、早川孝太郎や宮本常一といった民俗学の大御所が含まれています。神奈川大学附置後には、網野善彦や香月洋一郎など、近代民俗学の発展に寄与した人物も名を連ねています。これらの学者たちは、常民文化研究所の基盤を形成し、今なおその影響が色濃く残っています。

結論

神奈川大学日本常民文化研究所は、日本の民俗文化に焦点を当て、歴史的な視点から民衆の生活様式を探求する貴重な研究機関です。1921年の設立以来、数多くの研究成果を上げてきたこの所は、今後も日本文化の深い理解に寄与していくことでしょう。

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