神奈川県立上郷高等学校

神奈川県立上郷高等学校

神奈川県立上郷高等学校（かながわけんりつ かみごうこうとうがっこう）は、かつて神奈川県横浜市栄区上郷町に所在した公立の高等学校です。短期間ではありましたが、地域における教育の一翼を担いました。

設立と背景

本校は昭和58年（1983年）に開校しました。この設立は、当時神奈川県が推進していた「高校百校新設計画」に基づいています。これは、ベビーブーム世代の子どもたちが高校進学を迎えるにあたり、受け入れ態勢を強化するために多数の県立高校が新設された大規模な教育政策でした。上郷高等学校もこの計画の一環として、横浜市南部地域の教育需要増加に対応するために設けられました。

学校の所在地は横浜市栄区上郷町にあり、JR根岸線港南台駅からのアクセスは徒歩で約18分でした。当時の学区制度においては、本校は横浜南部学区に指定されており、主にこの学区内に居住する生徒たちが通学していました。

統合による閉校

21世紀に入ると、社会構造の変化、特に少子化の影響が顕著になり、神奈川県立高等学校の再編・統合が進められることとなりました。この県立高校改革の中で、上郷高等学校は再編の対象となり、同じ横浜南部学区内にあった神奈川県立港南台高等学校との統合が決定されます。

平成21年（2009年）4月6日、両校は正式に統合を実施し、新たな単位制の普通科高校である神奈川県立横浜栄高等学校が開校しました。この統合に伴い、神奈川県立上郷高等学校はその26年間にわたる歴史に幕を下ろしました。統合後の横浜栄高等学校は、旧上郷高等学校の校舎や施設を継続して使用しており、現在も教育活動が行われています。

敷地内の遺跡と関連事項

上郷高等学校の敷地内からは、考古学的に重要な上郷猿田遺跡が発見されています。学校の建設に先立つ形で、この遺跡の大規模な発掘調査が実施されました。これは、現代の学校建築が、太古から続くその土地の歴史と交差する一例と言えます。

本校は、前述の統合により閉校したため、「神奈川県高等学校の廃校一覧」に含まれています。また、その設立経緯は、昭和後期の神奈川県教育史における重要な計画の一つである「高校百校新設計画」と密接に関連しています。

著名な卒業生

上郷高等学校からは、様々な分野で活躍する人材が輩出されています。特に知られている卒業生としては、陸上競技の走高跳で実績を残した吉田孝久氏や、メディアで広く活躍するフリーアナウンサーのレイチェル・チャン氏などが挙げられます。彼らは上郷高校で高校時代を過ごしました。

神奈川県立上郷高等学校は、短い存続期間ではありましたが、地域の教育に貢献し、多くの卒業生を社会に送り出しました。現在はその施設が横浜栄高等学校として利用されていますが、かつて上郷高校が存在した事実は、関係者の記憶や神奈川県の教育史に刻まれています。

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