神奈川都市交通

神奈川都市交通株式会社

神奈川都市交通株式会社は、神奈川県横浜市に本社を構える、タクシーおよびハイヤー事業を営む老舗企業です。「都市交通」の通称で知られ、大正時代に創業して以来、現存する日本のタクシー事業者の中では最も長い歴史を有しています。現在は神奈川県東部、特に横浜市、川崎市を含む京浜交通圏や県央交通圏を中心に営業活動を展開しており、一部では東京都城南地区もその範囲に含まれています。TOKYUポイントの加盟店でもあります。

概要と事業特色

同社は、神奈川県を代表する老舗のハイタク事業者として、複数の関連会社と共に都市交通グループを形成しています。本社は横浜市西区に位置し、神奈川県下や東京都城南地区に多数の営業拠点を置いています。事業の主力はハイヤーですが、タクシー事業においても独自の特色を持っています。特に、大手企業や官公庁とのチケット契約を多数有するほか、東京四社や名鉄交通など、他地域の大手タクシー事業者との間でタクシーチケットの相互利用が可能である点が特徴です。また、東急田園都市線沿線の多くの駅で構内における営業権を独占的に有しており、このエリアにおける強固な基盤を築いています。経営スタイルについては、かつては保守的とされ、無借金経営を実現した時期もありましたが、近年は業界を取り巻く厳しい環境を受け、新本社ビルの建設など積極的な営業戦略へと転換を図っています。乗務員の服装にも特徴があり、多くのタクシー会社が制帽を採用しない中で、同社は制服に加えて制帽を制定し、さらに白い布カバーを付けることを義務付けています。乗務員は制服、白カバー付きの制帽、白手袋を着用して業務にあたることが規定されています。

歴史

神奈川都市交通の歴史は、1918年（大正7年）12月25日に設立された横浜市街自動車株式会社に始まります。創業間もない1923年の関東大震災では大きな被害を受けました。1939年には東京横浜電鉄（現：東急）の傘下に入り、翌1940年に東横タクシー株式会社へ商号を変更。戦時体制下の1942年には、京浜タクシーや横浜自動車といった地域の事業者を合併しました。1945年、戦時統合の一環として横浜・川崎地区の複数の事業者を統合し、現在の神奈川都市交通株式会社が誕生しました。戦後間もない1947年3月には東急グループから独立。その後、観光バス、ホテル、貨物輸送など事業の多角化を試みましたが、一部は撤退や譲渡となりました。一方で、東京都（都南交通設立）や箱根地区（箱根観光自動車設立）へも進出、明生タクシー、多摩田園タクシーといったグループ会社も設立しています。1965年には無線タクシー、1987年には車両位置自動表示装置といった先進システムを導入。1978年には福祉車両「みどりのタクシー」運行開始、2012年にはユニバーサルデザイン（UD）タクシー導入と、多様なサービスにも対応。環境面では、FCVやEVタクシーの実証運行・導入、グリーン経営認証の取得を進めました。2016年には無線設備のデジタル化を完了。グループ会社の再編や営業所の統廃合、新規開設などを経て体制を強化し、2018年12月25日に創業から100周年を迎えました。

東急グループとの関係

神奈川都市交通は、1947年に東急グループから資本的に独立しましたが、その後も長年にわたり東急グループに近い存在であり続けました。東急グループを率いた五島昇氏が没するまで同社の取締役を務めていたことなどが、その関係性の深さを示しています。都市交通グループ各社の社章には、買収により傍系となった高砂交通を除き、かつて東京急行電鉄が使用していたものと類似した翼状のデザインが見られます。これは、同じく東急を母体としつつ戦時統合で成立した日本交通とは異なり、資本・人事面での直接的な関連は一切ありません。都市交通の前社長である伊藤嘉道氏も、入社前に日本交通ではなく大和自動車交通で修行を積んだ経験があります。東京四社営業委員会との間ではタクシーチケットの提携はありますが、日本交通グループとは東京城南地区や京浜地区、箱根地区などで営業上の競合関係にあります。

主な関連会社

都市交通グループには、明生タクシー株式会社、多摩田園タクシー株式会社、都南交通株式会社、箱根観光自動車株式会社、高砂交通株式会社などの関連会社があります。これらの会社と共に事業を展開しています。

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