神島発電所

神島発電所について

神島発電所は、三重県鳥羽市神島に所在する中部電力パワーグリッドの火力発電所です。中部電力管内において唯一の内燃力発電方式を採用している点が特徴です。この発電所は、かつて島民にとって重要な電力供給源であり、その歴史は神島の生活と深く結びついています。

発電所の歴史

1947年（昭和22年）、当時電灯がなかった神島において、神島電気組合が旧大日本帝国陸軍の払い下げ発電設備を活用し、電力供給を開始しました。当初は日没後の約5時間程度の供給にとどまっていました。その後、1954年（昭和29年）には神島漁業協同組合が電力供給を引き継ぎ、発電機の増強が行われました。

1964年（昭和39年）9月、離島振興法に基づき、神島漁業協同組合から中部電力に発電所が譲渡されました。この時、発電所の出力は75キロワットに増強され、24時間電力供給が可能となりました。以来、中部電力はこの発電所を用いて島内へ電力を供給してきました。

発電所の課題と変遷

しかし、ディーゼル発電機による煤煙や騒音、そしてコスト高が問題視されるようになりました。また、施設自体の老朽化も進んでいました。これらの課題を解決するため、2005年（平成17年）には、近隣の答志島から海底ケーブルが敷設されることになりました。これにより、神島への電力供給はより安定し、環境負荷も軽減されました。

非常用発電所の役割と廃止

海底ケーブルの敷設後も、神島発電所は設備の老朽化を抱えながらも、災害時などの非常用発電所として機能していました。しかし、施設の老朽化が進んだため、2024年（令和6年）にはその役割を終えることとなりました。同年に電力供給を強化するために、海底ケーブルが追加敷設されています。

発電所の技術

神島発電所では内燃力発電、具体的にはディーゼル発電機が使用されていました。ディーゼル発電機は、燃料を燃焼させてエンジンを回転させ、その動力を利用して発電する方式です。比較的設置が容易で、小規模な発電に適しているという利点がありますが、騒音や排出ガスが課題とされてきました。

まとめ

神島発電所は、長年にわたり神島の電力供給を支え、島の発展に貢献してきました。その歴史は、地域の電力事情の変化や技術の進歩を反映するものでもあります。海底ケーブルによる電力供給に切り替わった現在も、その役割を終えた発電所は、地域の人々の記憶にとどまることでしょう。

参考文献

• - 社史編纂会議委員会 編『時の遺産 中部地方電気事業史料目録集』中部電力、2001年10月。

もう一度検索