神戸大空襲

神戸大空襲

神戸大空襲は、第二次世界大戦の終わりに近い1945年にアメリカ軍が行った神戸市とその周辺地域に対する一連の戦略爆撃および無差別攻撃を指します。特に、1945年3月17日と6月5日の空襲が、神戸市内の大きな被害の要因として広く知られています。これらの攻撃は、当時15歳の中学生であった妹尾河童が自身の体験として目撃しています。

空襲の開始と背景

1942年4月から日本本土に対する空襲が本格的に始まりました。最初の標的は東京や名古屋、そして神戸などでした。神戸は、1945年の初頭に行われた空襲ではそれほどの被害は受けていませんでしたが、そこから戦争が進むにつれ、神戸近郊は戦闘により次第に激しい影響を受けることになります。

1945年1月3日から終戦までの約8か月間に神戸市は生じた約128回の空襲にさらされました。その中で特に注目すべきは、2月4日に行われた無差別な焼夷弾爆撃です。この攻撃は、アメリカ軍が日本の都市に対して策定した新たな爆撃戦略の一環として、後の東京大空襲への布石とも言われています。

3月17日未明、実に神戸市の中西部が壊滅的な被害を受け、幸いにも人的被害はあったものの、その壊滅は目を覆うばかりでした。それから数日後、5月11日の空襲では灘区や武庫郡まで被害が及んでいます。

寸断された神戸

続いて、6月5日の空襲によって神戸市の西部から東部にかけての広範囲にさらなる爆撃が行われました。この空襲の結果、以前は被害が少なかった神戸市東部も焦土と化し、さらなる壊滅を招くことになります。兵庫区や林田区などが集中的に攻撃され、神戸市全体が大きな打撃を受けました。

空襲の結果、神戸周辺では21%の面積が被害を受け、約14万戸の建物が焼失しました。また、戦災者数は約53万人に上り、その中で7491人が命を落とし、17002人が負傷しました。この被害は、実際よりも少ない数値と考えられており、真の被害の大きさはさらに深刻であると見積もられています。

復興への道筋

敗戦後、神戸は空襲による壊滅でほとんどが機能を失う中、1945年11月に「神戸市復興本部」が設立されました。市長である中井が本部長を務め、復興に向けた様々な施策が協議されました。1946年には「神戸市復興基本計画」も策定され、市の性格を「国際的貿易都市」とする新たなビジョンが描かれました。この構想は現在の神戸市を形作る重要な土台となりました。

神戸大空襲を描いた文化作品

神戸大空襲は、文学や映画、音楽といった多様な作品の中で取り上げられています。野坂昭如の『火垂るの墓』や、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』は福音としてこの歴史的事件の影響を受けています。また、妹尾河童の『少年H』は、彼自身の体験をもとにした作品として特に有名です。

神戸大空襲は、戦争の惨禍だけではなく、その後の復興の道においても、語り継がれるべき重要な出来事です。

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