神戸市交通局1100形電車

神戸市交通局1100形電車は、かつて神戸市電で活躍した路面電車車両です。神戸市電全廃後には広島電鉄へ譲渡され、現在も一部が保存されています。

概要

1100形は、750形に続く増備車として1954年に3両（1101-1103号）が神戸市交通局長田工場で製造されました。1954年製の車両は、乗客増加に対応するため、従来の前後扉式から大阪市電で採用されていた前中扉式の左右非対称車体へと変更されました。また、運転台横の扉には引き戸が採用され、全ての扉が自動化されました。駆動方式は従来の直接制御・吊り掛け式でしたが、台車には住友金属製の新型FS62形が採用され、車輪には神戸市電初の弾性車輪が使用されました。この3両は、神戸市交通局長田工場で最後に製造された車両となりました。

その後の増備は1150形に移行しましたが、機構が複雑すぎたため、1960年に1104,1105号の2両が川崎車輌で製造されました。これらの車両は、足回りに関しては1954年製の車両と同じものが採用されましたが、車体仕様は1150形に近いものとなり、側面窓上段や前面中央窓、乗降扉にHゴムが採用されました。また、神戸市電として初めてZパンタグラフが採用されました。この2両が、神戸市電最後の新造車となりました。

1968年には全車が大阪車輌工業でワンマン運転対応に改造されました。しかし、1101号と1105号の2両は、ツーマンカー不足のため、一時的に車掌が乗務してツーマン運転に使用された時期もありました。

1100形は全車とも、1971年3月の神戸市電全廃まで使用されました。廃止翌日から順次広島電鉄へ輸送され、整備が完了したものから広島電鉄1100形として使用が開始されました。

保存

広島電鉄で最後まで残った1103号は、2003年3月に神戸市へ里帰りし、市電和田車庫跡に建設された御崎公園で保存されています。

各車状況

廃車後、全車が広島電鉄に譲渡されました（車番は神戸時代と同一）。

参考文献

神戸市交通局編『神戸市交通局八十年史』、神戸市交通局、2001年
「神戸市電 車両史」『鉄道ファン』No.122（1971年7月号）、交友社
小山敏夫『全盛期の神戸市電』（上）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.75〉、2005年11月 ISBN 4-7770-5128-5
小西滋男・宮武浩二『全盛期の神戸市電』（下）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.76〉、2005年12月 ISBN 4-7770-5129-3
* 飯島巌『私鉄の車両3 広島電鉄』、保育社 ISBN 4-586-53203-3

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