神戸市交通局1150形電車

神戸市交通局1150形電車

神戸市交通局1150形電車は、かつて神戸市電で活躍した路面電車車両です。全廃後には広島電鉄へ譲渡され、その後の活躍については広島電鉄1150形電車として知られています。

概要

1150形は、当時大都市の路面電車で導入が進んでいた、国産PCCカーを神戸市でも採用することになり、先行して登場していた1100形をベースに、床下機器を一新して登場しました。

1955年1月には、まず2両 (1151,1152号) が試作車として製造されました。1151号は川崎車輛で製造され、前面窓枠の隅に丸みが付き、窓ガラスはHゴム支持となりました。主制御器は東芝製PC201A、台車は同じく東芝製TT-102で、直角カルダン駆動を採用しています。一方、ナニワ工機で製造された1152号は、車体は1101形の 1101 - 1103 とほぼ同型で、側面窓の上部と戸袋窓、乗降扉にHゴムが採用されました。主制御器は三菱電機製MU-5-113A、台車は住友金属製FS-352で、平行カルダン駆動となっています。

交通局では、この2両を使用して比較検討を行った結果、車体は1151号を、床下機器は1152号をベースに増備することとなり、1956年10月には川崎車輌で6両 (1153-1158号) が増備されました。また 1151号は1152号と同様の電装機器に変更されました。

しかし、増備されたものの、初期故障を含む故障が多発し、保守に手間がかかりました。また、PCCカー特有の電気制動に運転士が不慣れだったこともあり、ほとんど使用されない日々が続いたため、その後の増備は1100形に戻されることになりました。さらに、1150形についても直接制御・吊り掛け駆動に変更することが決定され、1964年には大阪市交通局から801形・901形の足回りを譲り受けて交換、台車もブリル77E形となりました。

1968年には、僚車の1101形とともに大阪車輌工業にてワンマン改造が実施されましたが、1155号のみは改造対象から外され、ツーマンカーのまま残されました。

8両すべてが1971年3月の神戸市電全廃まで使用されました。

広島電鉄への譲渡

廃止後、ツーマンカーであった1155号を除く7両が広島電鉄に譲渡されることになり、廃止翌日から広島へ輸送され、整備が完了したものから順次1150形として使用が開始されました。

保存

1155号は、神戸市東灘区の小寄公園（保存当時、本山交通公園）に保存されました。しかし、一時期は荒廃が進み、2003年には解体も計画されましたが、市民の声を受け、予定が変更されました。外板の張り替えや再塗装、ガラスの交換、方向幕の再制作などが行われ、美しい姿を取り戻しました。

2017年10月の台風により屋根などが大きく損傷しましたが、2020年春には修復されています。

各車状況

1151 - 1154, 1156 - 1158号車は広島電鉄へ譲渡
1155号車は小寄公園に保存

参考文献

神戸市交通局編『神戸市交通局八十年史』、神戸市交通局、2001年
「神戸市電 車両史」『鉄道ファン』No.122（1971年7月号）、交友社
小山敏夫『全盛期の神戸市電』（上）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.75〉、2005年11月 ISBN 4-7770-5128-5
小西滋男・宮武浩二『全盛期の神戸市電』（下）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.76〉、2005年12月 ISBN 4-7770-5129-3
* 飯島巌『私鉄の車両3 広島電鉄』、保育社 ISBN 4-586-53203-3

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