神戸市交通局400形電車

神戸市交通局400形電車：神戸市電を支えた路面電車の生涯

神戸市交通局400形電車は、かつて神戸市交通局（神戸市電）が所有していた路面電車車両です。老朽化した木製電車の機器を有効活用し、製造されました。

概要

利用客から好評だった300形電車と同様に、400形も木造電車の台車や機器を流用して製造されました。神戸市電長田車庫に併設された局工場で鋼製車体が製造され、木造二軸車から流用した台車・電気機器と組み合わされました。ただし、全長は300形より640mm短く、窓1つ分のサイズダウンが図られています。

種車となったのは以下の通りです。

401 - 450: D車（101 - 150）（1920年製造。当時としては珍しく床面高さが低い車両でした。）
451 - 455: F車（171 - 175）（1922年製造。車体は局工場で製造され、300形以降の車両製造の基礎となりました。）
456 - 458: 電動貨車

401 - 410号車は、前面窓や側面端部の窓が側面窓よりも若干小さく、腰羽目よりも高い位置に配置されていました。しかし、それ以降の車両では側面窓と高さを合わせた設計に変更されています。また、前面3枚窓のうち左右の窓が開閉式となり、2枚窓のうち上部が下降可能となりました。

運用

1932年から1935年にかけて製造された400形は、神戸市電の主力として活躍しました。しかし、日華事変の激化に伴い、456 - 458の3両が満州国の新京交通へ供出されました。さらに、戦災により34両が廃車となり、残った21両は1950年に401 - 421へと改番されました。1960年には3両が廃車となり、1964年には残りの車両も全て廃車となりました。一部の車両は、後述するように電動貨車に改造されました。

電動貨車への改造

老朽化した従来の車両を置き換えるため、400形の一部は電動貨車に改造されました。

10: 406から改造された有蓋電動貨車。側面中央部に大型の外吊り両開き扉が設置され、車内にはジブクレーンが備え付けられました。主に各車庫への資材輸送に使用されました。
11-15: 5両が改造された無蓋電動貨車。車体上部が撤去され、運転台を含めて屋根は設置されていませんでした。資材輸送のほか、「みなとの祭」などのイベント時には、様々な装飾を施した花電車としても活躍しました。

400形電車は、神戸市電の歴史を語る上で欠かせない存在です。木製電車の機器を流用して製造された車両でありながら、戦前・戦中・戦後を通じて神戸の街を支え続けました。その姿は、人々の記憶に深く刻まれています。

参考資料

小西滋男、宮武浩二『全盛期の神戸市電 (下)』ネコ・パブリッシング、2005年12月。ISBN 4-7770-5129-3。 
* 金治勉、福田静二『神戸市電が走った街 今昔 山手と浜手を結ぶ電車定点対比』JTB、2001年10月。ISBN 4-533-03978-2。

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