神戸市交通局500形電車

神戸市交通局500形電車：神戸市電を彩った路面電車

神戸市交通局500形電車は、かつて神戸市電で使用されていた路面電車車両です。1919年から1931年にかけて、6つのグループに分かれて合計97両が製造されました。日本初の低床式ボギー車として登場し、神戸の街を駆け抜けました。

概要

500形は、以下の6つのグループで構成されていました。

1. C車 (501 - 530): 1919年に登場した日本初の低床式ボギー車。木造車。
2. E車 (151 - 170): 1920年に登場したC車の増備車。木造車。1923年に501 - 530に改番。
3. I車 (531 - 550): 1923年に登場した鋼製車。
4. J車 (551 - 562): 1924年に登場した鋼製車。
5. K車 (563 - 587): 1926年から1928年にかけて登場した鋼製車。
6. L車 (588 - 597): 1931年に登場した鋼製車。

鋼製車のうち、I・J・K車は中央扉の戸袋窓に楕円形の飾り窓があり、屋根も深めでしたが、L車は飾り窓が普通の窓に変更され、屋根もやや浅くなるなど、車体の仕様が異なっていました。

その後

木造車のC車は1932年に600形に、同じく木造車のE車と鋼製車のI車は1935年から1938年にかけて700形に改造されました。I車は製造後わずか15年程度で更新されることとなりました。

J・K・L車も700形へ改造する計画がありましたが、日中戦争から太平洋戦争への拡大により、物資不足や乗客の急増などにより中止され、代わりに800形が製造されました。

太平洋戦争末期の神戸大空襲では、J車、K車、L車の一部が被災し廃車となりました。台車などの部品の一部は、戦後に製造された800形に流用されました。1950年には、残存していた25両に対し、欠番を整理するための改番が実施されましたが、1952年～1953年に状態不良のため3両が廃車されました。

残った22両は原型のまま使用されていましたが、最も新しい車両でも製造から30年以上が経過し、車体の老朽化が目立ってきたため、1958年から1962年にかけて大阪車輌工業で大規模な更新改造が実施されました。この際、車体外板は全面的に張り替えられてリベットがなくなり、側面窓は1段下降窓から2段上昇窓に変更されました。乗降扉も従来の3扉から前中扉の2扉に変更され、前扉は折り戸から引き戸に変更されました。再度改番が実施され、残存車は571～592に整理されました。なお、K車の581・582とL車の588・589の4両は更新対象から外され、原型のまま1969年まで使用されました。更新車については、書類上は新造扱いとなっています。

1968年には、更新工事を受けた18両のうち、事故で大破し休車となっていた583号（のち廃車）を除く17両がワンマン改造を実施されました。

その後もワンマンカーとして神戸市電全廃まで使用されました。製造から40年以上が経過していましたが、更新済みで車体状態も良好だったことから広島電鉄へ譲渡されることになり、廃止翌日に広島へ輸送され、整備の後570形となりました。現在もJ車（557から592を経て広電譲渡時に582に改番）が1両のみ使用されています。またC車の91の前面が復元され、神戸市交通局名谷車両基地で保管されています。

参考文献

神戸市交通局編『神戸市交通局八十年史』、神戸市交通局、2001年
「神戸市電 車両史」『鉄道ファン』No.122（1971年7月号）、交友社
小山敏夫『全盛期の神戸市電』（上）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.75〉、2005年11月 ISBN 4-7770-5128-5
小西滋男・宮武浩二『全盛期の神戸市電』（下）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY No.76〉、2005年12月 ISBN 4-7770-5129-3

外部リンク

* 563号形式図『最新電動客車明細表及型式図集』（国立国会図書館デジタルコレクション）

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