神戸市電兵庫線

神戸市電兵庫線：神戸の街を走った路面電車の歴史

神戸市電兵庫線は、かつて神戸市内に存在した路面電車路線です。楠公前停留場と西柳原停留場（後に柳原停留場と改称）を結び、神戸市民の生活を支えていました。その歴史は、大正時代初期にまで遡ります。

開業から廃止まで

1913年（大正2年）、兵庫線の建設が始まり、まずは楠公前停留場から島上町停留場までの区間が開業しました。同年8月には、島上町停留場から西柳原停留場まで延伸され、全線2.687kmが開通しました。

その後、西柳原停留場と兵庫駅裏停留場はそれぞれ柳原停留場と兵庫駅南口停留場に改称されています。しかし、太平洋戦争の戦火の影響を受け、1945年（昭和20年）3月17日には築島停留場から柳原停留場間の運行が休止。そして1960年（昭和35年）にこの区間は完全に廃止されました。

そして、1971年（昭和46年）3月14日、残されていた楠公前停留場から築島停留場間の運行も廃止され、兵庫線は歴史の幕を閉じました。全線廃止時の路線延長は1.515kmでした。

路線の特徴と現在の名残

兵庫線は、神戸の街並みを縫うように走り、多くの停留場がありました。1962年7月当時の様子を見ると、その賑わいが偲ばれます。特に、相生町4丁目停留場から築島停留場間は、現在の神戸市営地下鉄海岸線ハーバーランド駅と中央市場前駅間とほぼ同じ経路を通っていた点が興味深いところです。

また、湊町1丁目停留場から相生町4丁目停留場までの約200～300m区間は、神戸市電唯一の専用軌道区間でした。他の区間は道路と共用していましたが、この区間だけは路面電車専用の線路が敷設されていたのです。

資料

兵庫線の歴史を紐解く上で、貴重な資料がいくつか存在します。「神戸・兵庫の郷土史」や「神戸市電兵庫線 路線図 - 鉄道歴史地図」などは、当時の様子を伝える貴重な情報源となっています。これらの資料を通じて、兵庫線が神戸の街に与えた影響や、人々の生活との関わりをより深く理解することができます。

まとめ

神戸市電兵庫線は、大正時代から昭和時代にかけて神戸市民の生活に密着した路面電車でした。その歴史は、時代の変化とともに発展と衰退を繰り返し、最終的には廃止の道を歩むこととなりました。しかし、その痕跡は現在も神戸の街に残っており、現代の交通網を考える上で重要な歴史的資産と言えるでしょう。 専用軌道区間や、地下鉄海岸線との重複区間など、その特徴的な路線形態は、過去の交通システムを知る上で貴重な資料となっています。 今後も、これらの資料を参考に、神戸市電兵庫線の歴史を後世に伝えていくことが重要です。そして、その歴史を学ぶことで、現代の都市開発や交通計画に役立てることができるでしょう。

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