神戸市電和田線

神戸市電和田線：神戸の街を駆け抜けた路面電車

神戸市電和田線は、かつて神戸市の活気ある街並みを駆け抜けていた路面電車路線です。中之島停留場から高松停留場を結び、多くの市民の足として親しまれていました。本稿では、和田線の歴史、運行状況、そして廃止に至るまでの経緯を詳細に解説します。

開業から廃止まで

和田線の歴史は、1924年（大正13年）4月1日に笠松通7丁目停留場から高松停留場間が開業したことに始まります。その後、段階的に路線を延伸し、1925年（大正14年）3月7日には中之島停留場まで開通。中之島停留場付近では国鉄兵庫臨港線と平面交差するという特徴がありました。また、和田岬停留場付近では、山陽本線（和田岬線）と接続する国鉄和田岬駅から海岸方面に伸びる三菱重工業の専用線と立体交差するという、複雑な路線構造を持っていました。

1932年（昭和7年）12月22日には、国鉄兵庫臨港線の延伸により、中之島停留場と今出在家2丁目停留場間で平面交差を行うようになります。これは、当時としては珍しい光景だったと言えるでしょう。その後も、停留場の名称変更や高松停留場の格下げなど、いくつかの変化を経て、1971年（昭和46年）3月14日、中之島停留場から高松分界点間の廃止により、和田線は全線廃止となりました。

路線と停留場

和田線の全盛期には、中之島、今出在家、笠松通7丁目（後に笠松7丁目と改称）、そして高松など、多くの停留場がありました。これらの停留場は、神戸の街の様々な場所に設置され、市民の生活を支えていたのです。1962年（昭和37年）7月当時の駅一覧を見ると、その頃の路線の様子が良く分かります。残念ながら、現在これらの停留場は存在せず、当時の面影を探すのは容易ではありません。

運行系統と車両

和田線には、複数の系統が運行されていました。1962年7月当時の運行系統図を見ると、それぞれの系統が異なる経路を辿り、神戸市内を網羅していた様子が見て取れます。車両については、当時の資料を元に詳細な情報を記述することは困難ですが、路面電車としての一般的な車両が使用されていたと考えられます。

廃止後の状況

和田線の廃止後、その跡地はどのように変化したのでしょうか。線路は撤去され、かつて路面電車が走っていた場所には、今では道路や建物が建ち並び、往時の面影を探すのは困難です。しかし、その存在は、神戸の歴史を語る上で重要な要素であり、現在も人々の記憶の中にしっかりと刻まれています。

まとめ

神戸市電和田線は、1924年の開業から1971年の廃止まで、約半世紀にわたって神戸市民の生活に密着した路面電車路線でした。国鉄の路線との交差や三菱重工業の専用線との立体交差など、その路線構造は複雑で、当時の神戸の街並みの変化を反映していると言えます。現在、和田線は存在しませんが、その歴史は、神戸の歴史を語る上で重要な一ページとして残されています。この資料を通して、和田線という貴重な路線の歴史を改めて知っていただき、神戸の街の変遷を理解する一助となれば幸いです。

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