神戸市電東部国道線

神戸市電東部国道線：神戸の街を駆け抜けた路面電車

神戸市電東部国道線は、神戸市中心部を東西に貫く重要な交通手段として、昭和10年から昭和43年まで人々の生活を支えていました。その歴史と特徴を詳しく見ていきましょう。

路線概要

東部国道線は、神戸市三宮駅前（三宮分岐点）から脇浜町までの全長約2.2kmの路線でした。路線全線が国道2号線上に敷設され、沿線には多くの商店や住宅が立ち並び、市民の生活と密接に結びついていました。

特筆すべきは、脇浜町停留場の先で阪神国道線と接続していた点です。この接続により、神戸市内だけでなく、大阪市、さらには堺市や守口市まで路面電車で移動することが理論上可能でした。ただし、日常的な旅客列車の相互乗り入れは行われておらず、運行は神戸市電東部国道線内のみでした。

例外として、毎年開催されるみなとの祭では、花電車が阪神国道線に乗り入れるという華やかな光景が見られました。また、太平洋戦争中の昭和19年には、物資輸送の目的で市電車両が阪神国道線に乗り入れる事例もありましたが、これは主に野菜などの輸送を目的としており、大規模な運行は行われませんでした。

歴史

東部国道線は、昭和10年1月1日に三宮駅前（三宮分岐点）から敏馬停留場間が開業しました。これに伴い、平行路線であった磯上線が休止となりました。その後、停留場の名称変更が複数回行われ、最終的には三宮駅前～脇浜町間となりました。

そして、昭和43年4月21日、全線廃止という歴史の幕を閉じました。わずか33年間の運行でしたが、神戸の街の変遷を刻み込んだ路線として、多くの人々の記憶に刻まれています。

停留場

東部国道線には、三宮駅前、春日野道（旧春日野）、脇浜2丁目（旧敏馬）、脇浜町など複数の停留場が存在していました。これらの停留場は、沿線の商業施設や住宅地へのアクセスを容易にする役割を果たしていました。昭和37年7月時点の停留場一覧を見ると、当時の街の様子を偲ぶことができます。

運行系統

昭和37年7月当時の運行系統図を見ると、東部国道線は、神戸市中心部を効率的に結ぶ主要な路線として機能していたことがわかります。運行頻度や運行時間などは、当時の社会情勢や需要を反映していたと考えられます。

まとめ

神戸市電東部国道線は、戦後復興期の神戸の街を支えた重要な交通機関でした。阪神国道線との接続という特異な特徴を持ち、みなとの祭の花電車運行など、人々の記憶に残る数々のエピソードを残しています。短いながらも充実した歴史を持つ東部国道線は、近代神戸の街の発展を象徴する存在と言えるでしょう。その歴史資料を紐解き、当時の神戸市民の生活や社会情勢を想像してみるのも、興味深い体験となるはずです。現在ではその姿を見ることはできませんが、写真や資料を通して、その面影を偲ぶことができます。

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