神戸市電石屋川線

神戸市電石屋川線：神戸の街を駆け抜けた路面電車

神戸市電石屋川線は、かつて神戸市内に存在した路面電車路線です。上筒井停留場から石屋川停留場を結び、神戸市民の生活に深く根付いていました。その歴史は昭和16年から昭和44年までと、比較的短い期間ではありましたが、神戸の街の発展とともに歩んできた軌跡をたどることができます。

開業から延伸、そして終焉へ

石屋川線の歴史は、1941年（昭和16年）9月1日に上筒井停留場から原田停留場間の開業から始まりました。この区間は、前年に廃止された阪急上筒井線の跡をほぼ辿るルートであったと言われています。その後、戦争の激化する中、1944年（昭和19年）6月1日には原田停留場から将軍通停留場間、1949年（昭和24年）7月25日には将軍通停留場から六甲口停留場間と、段階的に路線が延伸されました。

そして、1953年（昭和28年）10月1日、神戸市電最後の延伸区間となる六甲口停留場から石屋川停留場間が開業。灘区の東端にまで路線が伸び、多くの地域住民にとって利便性の高い交通手段となりました。この延伸によって、石屋川線は神戸市電のネットワークの重要な一部として、街の活気に貢献しました。しかし、時代の流れとともに路面電車は衰退の一途をたどり、1969年（昭和44年）3月23日、全線廃止という運命を辿ることになります。

路線と停留場

石屋川線は、市道長田楠日尾線（原田線）と山手幹線に敷設されており、沿線には多くの停留場が存在していました。1962年（昭和37年）7月当時の資料によると、上筒井1丁目停留場（開業当初は上筒井停留場）、原田停留場、将軍通停留場、六甲口停留場、そして終点の石屋川停留場などがありました。各停留場の位置や周辺環境を知ることは、当時の神戸の街並みを想像する上で非常に重要です。これらの停留場は、地域住民の生活圏に密接に結びついており、日常生活における重要な役割を担っていました。

資料から読み解く石屋川線

石屋川線の歴史を紐解く上で、様々な資料が役立ちます。「鉄道廃線跡一覧表（兵庫県内）」「神戸市電石屋川線 路線図」「昭和37年7月現在の電車運転系統図」「昭和41年3月頃の路線図」といった文献は、当時の路線状況や運行状況を知る上で貴重な情報源となっています。これらの資料から、石屋川線がどのような運行形態をとっていたのか、どのような車両が運行されていたのかといった詳細な情報を読み解くことができます。

まとめ

神戸市電石屋川線は、戦前から戦後にかけて神戸の街の発展を支えた路面電車路線でした。その短い歴史の中に、時代の変遷や社会情勢の変化が反映されています。資料から当時の様子を想像し、かつて神戸の街を駆け抜けていた路面電車の足跡をたどってみることで、歴史への理解を深めることができます。残された資料を丁寧に紐解き、神戸市電石屋川線の歴史を未来へと伝えていくことが、私たちの役割と言えるでしょう。

もう一度検索