神楽笛

神楽笛（かぐらぶえ）は、日本の伝統音楽である雅楽、特に御神楽（みかぐら）や、一部の近代神楽で用いられる横笛です。吹き物（ふきもの）と呼ばれる管楽器の一種であり、大和笛（やまとぶえ）、太笛（ふとぶえ）という別名も持っています。

構造と特徴

神楽笛は、竹製の管で作られており、全長は約46センチメートルです。管には6つの指孔（ゆびあな）が開けられています。この指孔を押さえることで音階を奏でます。

音の高さは、同じ雅楽で使用される龍笛（りゅうてき）と比較すると、全音（長2度）低い音域を持っています。古典の演奏で用いられる音域は、壱越（いちこつ、D5）から盤渉（ばんしき、B6）までです。

指孔の名称と運指

神楽笛の指孔には、それぞれ独特の名前が付けられています。吹き口に近い順に、「六（ろく）」「中（ちゅう）」「夕（ゆう）」「丄（じょう）」「五（ご）」「〒（てい）」と呼ばれます。これらの孔名は、運指（うんし）の形を表す際にも用いられます。

運指の基本は、孔名の指孔を開け、その直前までの指孔を閉じた形を取ります。例えば、「六」の運指は、「六」の孔を開け、他の孔を全て閉じます。しかし、「丅（か）」のように、孔名にはない運指も存在します。

全ての指孔を閉じた状態を「口（くち）」、責の六と呼ばれる運指は、構造上は音を出すことが可能ですが、実際の曲、少なくとも現行の古典曲においては使用されることはありません。

神楽笛の音色

神楽笛の音色は、素朴でありながらも力強く、神聖な雰囲気を醸し出します。雅楽の合奏においては、他の楽器との調和を図りながら、旋律に深みを与えます。御神楽においては、神々への祈りを込めた演奏が行われ、神秘的な空間を創り出します。

関連楽器・音楽

龍笛: 雅楽で使用される代表的な横笛。神楽笛よりも高い音域を持つ。
御神楽: 神社で行われる神事芸能の一つ。神楽笛は、その中で重要な役割を担う。
雅楽: 日本の伝統音楽。神楽のほか、管弦、舞楽などがある。
和楽器: 日本固有の楽器の総称。神楽笛もその一つ。

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