雅楽

雅楽（ががく）

雅楽は、日本の古典音楽の一つで、主に宮内庁式部職楽部に伝えられたものを中心に、日本独自の様式を持つ音楽ジャンルです。遡ること奈良時代から、これらの音楽や舞は中国を初めとするアジア諸国から日本に導入され、平安時代頃に固まったと言われています。雅楽は主に以下の三つのカテゴリーに分けられます。

1. 国風歌舞（くにぶりのうたまい）

日本古来の歌謡を基に平安期に発展し、神道や皇室との深い関わりを持ちます。このカテゴリーには、神楽、東遊、倭歌、大歌などがあり、主に宮廷での儀式や行事で演奏されます。

2. 大陸系の楽舞

5世紀から9世紀の間に流入したもので、中国、天竺（インド）、林邑（南ベトナム）系の唐楽と、朝鮮半島、渤海系の高麗楽が含まれます。この流れの中で、インドやシルクロードからの音楽も影響を受けました。

3. 謡物（うたいもの）

日本の民詩や漢詩に旋律をつけた声楽で、平安期に新たに形成された曲調です。催馬楽や朗詠がこのカテゴリに属します。

雅楽は元々「雅正の楽舞」と訳され、俗楽に対して位置づけられています。今日においても雅楽は混成楽団によって大規模に演奏される、世界でも最も古い形式の伝統音楽として評価されています。

歴史的背景

雅楽の起源は、中国大陸や朝鮮半島からの音楽を日本に取り入れたことに始まります。大宝元年に設立された雅楽寮がこの流れを受け継ぎ、さまざまな楽器の技術が発展する基盤を築きました。この過程の中で、平安時代の楽制改革が影響を及ぼし、演奏スタイルが日本独自のものへと変化していきました。

平安時代中期には、貴族が参加する私的な演奏会が行われ、儀式音楽とは異なるスタイルの宮廷音楽が確立されます。特に催馬楽や朗詠など、娯楽的な性格を持つ謡物が登場します。その後、鎌倉時代から江戸時代にかけて、楽家たちによる演奏が盛んに行われ、演奏技法や形式が多様化しました。

現代における雅楽

明治時代には、雅楽の統一化が試みられ、明治撰定譜が作成されます。これ以降、数多くの曲が失われ、その結果演奏できる曲目が減少しました。しかし、現代においては、復元活動が活発化し、失われた曲の再演や新たな作品の創作が行われています。また、雅楽演奏を行う団体や個人がインターネットを通じて広まり、新たな形での普及が進んでいます。

現代の雅楽は、伝統的な技法が維持されつつも、演奏スタイルが変化しています。このような変遷によって、雅楽の演奏において統一感が失われつつあるとも指摘されていますが、時代ごとの独自の表現方法として、演奏は続いています。雅楽は、国立劇場や地域の神社などで鑑賞する機会が多く、特に雅楽祭や献上行事などで生の演奏を楽しむことができます。現代に至るまで、「雅楽」は日本の文化の重要な一部として生き続けています。

もう一度検索