神田川 (曲)

神田川について

「神田川」（かんだがわ）は、1973年にかぐや姫（当時、南こうせつとかぐや姫として知られていた）がリリースしたフォークソングで、若者たちの青春の苦悩を描いています。この曲のリードボーカルを務めたのは南こうせつで、彼の表現力豊かな歌声が多くのファンを惹きつけました。また、バイオリンの演奏は武川雅寛が担当し、その音色が曲に深みを与えています。

この楽曲の作詞を行ったのは喜多條忠で、彼が早稲田大学に在籍中に体験した恋愛の思い出が盛り込まれています。彼は、神田川の近くにあるアパートでの生活を振り返りながら、青春の切なさを表現する詞を書くことにしました。このアパートは窓からは汚れた神田川と大正製薬の煙突が見える場所にあり、喜多條の思い出は、具体的な風景と共に心に残るものでした。彼は感情を込めて約30分の速攻で歌詞を完成させます。

南こうせつにこの詞を読み上げた際、彼は即興でメロディを作り出し、その後すぐに曲が完成しました。特に1番の歌詞には、女性が銭湯で待たされる情景が描かれています。この描写には、喜多條自身が銭湯で金魚に餌をやる姿や、寒がりの恋人が赤いマフラーを巻いて待つ様子が反映されているとされています。そのモデルとなった銭湯「安兵衛湯」は、早稲田通りの少し奥にあった場所です。

「神田川」は、元々はLPレコード『かぐや姫さあど』に収録されていましたが、南こうせつがラジオ番組『パックインミュージック』で流したところ、リクエストが殺到しました。この反響を受けて、日本クラウン社内ではシングル版の制作が決まりました。名物プロデューサーの馬渕玄三の強い推しもあり、特別にフラット・マンドリンの演奏を加えたシングルが発売されました。結果的に、120万枚から200万枚以上の売上を記録し、かぐや姫にとって最大のヒット曲となりました。

ただ、歌詞に含まれる「クレパス」の商標名が問題になり、1974年のNHK紅白歌合戦の際にはこの表現を「クレヨン」に変更するよう求められたことがあったため、これにより南こうせつは出場を辞退することになりました。オリジナルの歌詞のままで紅白に出演したのは、1992年に他のソロパフォーマンスでのことです。

「神田川」は、1970年代の若者文化の象徴ともされ、東京都中野区には歌碑が建立されています。実際に歌の舞台となった地点は、より下流の戸田平橋周辺で、喜多條が住んでいたアパートの具体的な場所も特定されています。

この曲は後に映画化され、1974年には関根恵子と草刈正雄が出演する作品が公開されました。ただし、映画の内容は歌詞とは無関係なストーリーでした。歌の影響力は今もなお健在で、様々なアーティストによるカバーも行われ、その魅力は色褪せることがありません。

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