神田連雀亭

神田連雀亭とは

東京都千代田区神田須田町に位置する神田連雀亭（かんだれんじゃくてい）は、主に二ツ目の落語家や講談師が定期的に公演を行う特別な寄席です。この寄席は、2014年10月11日に著名な落語家古今亭志ん輔のプロデュースにより誕生しました。座席数は38名とコンパクトな設計となっており、臨場感あふれる近距離でのパフォーマンスが特徴です。立見席は設けておらず、観客は専用の椅子に座って演者の技を楽しむことができます。

開設の背景と運営

神田連雀亭のオーナーは加藤伸氏で、高座は奥に向かって狭くなる三角形をしており、客席から見ると右側が楽屋となっています。座席数が限られているため、出演者自身が運営を行い、観客への案内や受付も担当しています。この運営スタイルにより、出演者と観客との距離がさらに近くなり、パフォーマンスへの一体感が生まれています。

この寄席では、二ツ目や若手真打の独演会や勉強会が盛んに行われており、演者たちが自らの技術を磨く場としての役割も果たしています。神田連雀亭は、落語や講談の新しい世代を育てるための重要な場所とされ、今日でも居心地の良い演芸スペースとして多くの人々に親しまれています。

存続の危機と再開

2017年8月、古今亭志ん輔のブログで連雀亭の存続危機についての意見が交わされました。そして同年の10月には、志ん輔が運営から退くことが発表され、今後は二ツ目の委員会によって運営が続けられることになりました。その後、同年10月・11月には設備メンテナンスのため営業を一時休止しましたが、12月1日より営業は再開されました。

新型コロナウイルスの影響

2020年には、新型コロナウイルスの影響を受けて営業が自粛されることとなり、3月から6月の間は休席し、7月には感染防止策を講じた上で公演が再開されました。昼席の興行は平常に戻る一方、夜席は貸し席が中心となり、段階的に復帰している状況です。「神田連雀亭オンライン寄席」のように、一部公演はオンラインで配信される形にもなっており、新しい観客層の開拓にも力を入れています。

公演形態と出演者

神田連雀亭では、いくつかの公演スタイルが設けられており、1時間から1時間半の公演が主に行われています。特に、毎月行われる「ワンコイン寄席」や「きゃたぴら寄席」といった催し物は、気軽に楽しめる価格設定となっており、入場料は500円からです。

出演者には若手落語家を中心に、上方落語や講談だけでなく、浪曲者やフリーの演者も参加する多彩な構成が特徴です。これによって、今まで交流のなかった団体の演者同士の新たなつながりが生まれることも多々あります。演芸を取材するテレビ東京の篠原裕明は、連雀亭の設立以降、さまざまな団体の若手の横のつながりが大きく変動したと指摘しています。

まとめ

神田連雀亭は、伝統的な日本の演芸を未来に向けて継承しつつ、新しい形で多くの観客に楽しんでもらうための舞台となっています。コンパクトな空間ながら、深い芸を味わえるこの寄席は、落語や講談ファンにとって貴重な存在です。新しい公演形態やオンライン配信を通じて、これからも多くの人々にその魅力を伝えていくことでしょう。

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