神社本庁爆破事件

神社本庁爆破事件とは

1977年10月27日、東京都渋谷区に所在する神社本庁ビルで発生した爆弾テロ事件です。この事件は、新左翼活動家であった加藤三郎によって引き起こされました。加藤は、神社本庁が神道政治連盟を通じて政治活動を積極的に行っていたことに強い不満を抱き、その抗議として爆破を実行しました。

事件の背景

加藤は、事件を起こす前に東京都立中央図書館の新聞閲覧室で『神社新報』という新聞を読んでいました。『神社新報』は、宗教法人神社本庁の機関紙的な役割を担うもので、当時は「元号法制定運動」に関する議論が活発に行われていました。加藤はこの論調に激しく憤慨し、神社本庁への爆破という行動に至りました。

事件の概要

1977年10月27日午前10時57分頃、神社本庁ビルの1階ロビーに仕掛けられた爆弾が爆発しました。この爆発により、ロビーのガラスが吹き飛び、白いきのこ雲状の煙が立ち上りました。この爆発で、神社本庁の職員5名と、たまたま郵便配達に来ていた郵便局員1名が負傷しました。

事件後、「世界革命戦線・大地の豚」という名義で犯行声明文がマスコミに送られました。声明文には、「侵略と搾取、奴隷支配を正当化する日本国とその民族に対決し滅ぼす」という過激な主張が記されており、さらに「アイヌモシリ建国運動」「沖縄解放闘争」「闇の土蜘蛛」「東アジア反日武装戦線」「日本赤軍」への支持が表明されていました。これらの支持表明から、加藤の思想的背景には、新左翼や反体制的な立場があったことが伺えます。

事件の影響

この事件は、戦後の日本社会における新左翼運動の過激化を示す出来事の一つとして位置づけられます。また、宗教法人と政治活動の関係性に対する議論を喚起し、社会に大きな衝撃を与えました。

脚注

朝日新聞、1977年10月27日夕刊
読売新聞、1977年10月27日夕刊
加藤三郎 『意見書　「大地の豚」からあなたへ』思想の科学社、1992年
事件犯罪研究会編 『明治・大正・昭和・平成 事件・犯罪大事典』東京法経学院出版、2002年

関連項目

新左翼
日本原住民論
反日亡国論
神社本庁

この事件は、単なる爆弾テロ事件としてだけでなく、当時の社会情勢や思想的背景を理解する上で重要な事件です。加藤の行動は、当時の社会に対する不満や抵抗の象徴とも言えるでしょう。事件を通して、新左翼運動が抱えていた矛盾や過激さを知ることができます。

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