神籬とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

神籬（ひもろぎ）とは

神籬（ひもろぎ）とは、神道において、神社や神棚以外の場所で祭祀を行う際に、臨時に神を迎えるための依り代となるものです。古来、日本では自然の山や岩、木などに神が宿ると考えられており、それらを信仰の対象としてきました。そのため、古代の神道では、神社を建てて社殿の中に神を祀るのではなく、祭りの際にその都度神を招いて祭祀を行っていました。

神籬の起こりと現在

古代の神籬

古代の祭祀では、神を招くために、神が宿ると考えられる巨木の周囲に玉垣をめぐらし、注連縄で囲って神聖な場所としました。この場所が神籬と呼ばれていました。その後、神社が建てられるようになり、祭祀も社殿で行われるようになりましたが、古い形式の神社では、建物の中に玉垣を設け、常盤木を立てて神の宿る場所としていました。この常盤木が、後に神籬と呼ばれるようになりました。

現代の神籬

現在では、神籬は主に地鎮祭などで用いられます。その形式は、八脚台と呼ばれる木の台の上に枠を組み、その中央に榊の枝を立て、紙垂と木綿（ゆう）を付けたものです。神籬には、常緑樹である榊のほか、松なども用いられます。

神籬の語源と漢字

語源

「ひもろぎ」の語源は、「ひ」が神霊、「もろ」が「あもる（天下る）」の転、「き」が木を意味するとされ、「神霊が天下る木」、「神の依り代となる木」という意味になります。また、別の説では、檜（ひのき）、榁（むろのき）、松（まつのき）のように、待ち合わせの目印となる高木で、「会う」や「群がる」という意味を持つ木であるとも言われています。

漢字

漢字の「神籬」は宛て字であり、「籬」は竹や柴で作られた垣根を意味します。「垣」も垣根を意味しますが、もともとは土塀（土で作られた垣根）を意味しており、後に広く垣根全般を指すようになりました。「垣籬（えんり）」や「籬垣（りえん）」もまた、竹や柴の垣根を意味します。

神籬の読み方

神籬の本来の読み方は「かみがき」や「みづがき」でした。

その他の意味

「胙（そ）」「膰（はん）」「燔（はん）」にも「ひもろぎ」の字訓が宛てられていますが、これらの元々の意味は神前に供える肉であり、「神籬」と表記する場合とは大きく意味が異なります。

神話における神籬

日本神話の天孫降臨において、高御産巣日神（高木神とも呼ばれる樹神）は、天児屋根命と太玉命に、「天津神籬と天津磐境を起こし樹（た）てて、常にわが天孫のために斎（いわ）い祭りなさい」と命じたとされています。

伊勢神宮における神籬

伊勢神宮では、神が依り憑く神籬として、心御柱（しんのみはしら）を正殿の床下中央部分に建てています。

参考文献

- 『神道行法の本―日本の霊統を貫く神祇奉祭の秘事』学研（2005）
- 上代語辞典編修委員会『時代別国語大辞典上代編』三省堂（1967）
- 鎌田正、米山寅太郎『新版　漢語林』大修館書店（1994）
- 小池康寿『日本人なら知っておきたい正しい家相の本』プレジデント社（2015）

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