神谷不二

神谷 不二 (かみや ふじ)

生涯と経歴

神谷不二は1927年1月6日、愛知県名古屋市に生まれました。愛知一中と八高を卒業後、1949年に東京大学法学部を卒業し、同大学の助手としてキャリアをスタートさせました。その後、大阪市立大学にて助教授を経て教授に昇進。1962年から1970年まで大阪市立大学法学部で教授として教鞭をとりましたが、1970年には慶應義塾大学に移籍し、1991年まで教え続けました。また、シカゴ大学やコロンビア大学で客員研究員および教授としても活躍しました。最後は東洋英和女学院大学にて教え、国際社会科学部長としても務めました。

研究と著作

神谷は国際政治学の専門家として知られ、特に現代アジアの国際政治や日米関係に関する研究で高く評価されています。彼はまた、朝鮮戦争についての研究の第一人者であり、1966年には『朝鮮戦争』という著書を発表しました。この著作の中で彼は、北朝鮮の侵略行為が戦争の発端であるとする新たな視点を展開，従来の「北侵」による戦争起源論に反論しました。

他にも、神谷は多くの著作を残しており、『現代国際政治の視角』や『戦後日米関係の文脈』など、彼の研究成果を文書としてまとめています。教科書としても使われるこれらの書籍は、国際政治を学ぶ学生や研究者にとって貴重な資料となっています。

影響と貢献

神谷は国際情勢に対して現実主義的な見方を持ち、親米保守的な立場を取っていました。彼は多くの媒体に寄稿し、論壇でも活躍しており、特に『中央公論』や『産経新聞』などでその意見を発信しました。また、防衛学会の会長として活躍し、1993年から2002年までその役割を担い、日本政府の外交政策に対する提言を行ってきました。沖縄返還の際には、政府への助言を行う学者グループの一員としても知られています。

家族

神谷の家族も教育界や研究界で活躍しています。妻の神谷笑子は法学者で元東京工科大学教授であり、長男の万丈は国際政治学者で防衛大学校教授を務めています。同じく、妻の神谷明美は東京工科大学の教授で、長女の百子はマリンバ奏者として知られています。さらに、姉の美子は宇宙物理学者で元名古屋大学教授という、優れた家族が揃っています。

最期と遺産

神谷不二は2009年2月20日に急性心不全で亡くなりました。享年82歳という短い生涯の中で、彼は国際政治学の発展に寄与し、多くの学問的成果を残しました。特に、アジアの国際情勢や日米関係に関する深い知見は、今後も忘れ去られることはないでしょう。

もう一度検索