神辺城

神辺城の歴史とその遺構

神辺城（かんなべじょう）は、かつて広島県福山市神辺町に存在した山城で、南北朝時代から江戸時代初期にかけて重要な役割を果たしてきた城です。別名で知られる「村尾城」や「紅葉山城」とも呼ばれていますが、歴史的には村尾城が正式な名称とされています。

概要

神辺城は、神辺平野を一望できる黄葉山に築かれ、備後国の代表的な城の一つとして知られています。昭和時代までは南北朝時代に備後国の守護所が置かれていたとされていましたが、近年の研究によってその事実は疑問視されており、実際には神辺城は備後国の政治的な中心ではなかったと考えられています。初期の城は現位置から北東約700メートルに位置する古城山にあったとされています。

室町時代の1443年に山名氏によって現在地に再建され、その後度重なる改修を経て江戸時代には福島氏により近世城郭として整備されました。しかし、福島氏の後に入封した水野勝成によって新たに福山城が築かれ、神辺城は廃城となりました。廃城に際して、多くの建物や石垣が福山城に転用されたため、神辺城の遺構は現在、曲輪跡や部分的な石垣、堀切、井戸などのみが残されています。

沿革

古城山の城

古城山にあったこの城は小規模ながらも、南北朝時代の建武2年（1335年）に朝山景連によって築かれたとされています。ただし、紀録の信憑性は疑問視されており、正確な時期や築城の詳細は不明です。1401年の嘉吉の乱を経て、山名氏が築城し再利用されたため、古城山の城は廃城となりました。

黄葉山の城

黄葉山に築かれた神辺城は1443年に山名氏によって再建されました。天文7年に山名氏明が城主であり、その後も数代の城主が交代しましたが、1549年には大内氏に攻められて落城します。その後、大内氏滅亡を経て、毛利氏の直轄城となりました。毛利元康が新たな城、王子山城に移ることで、城主は福島正則に引き継がれます。

遺構と文化財

神辺城は、江戸時代初期に数多くの改修が行われ、石垣を用いた櫓や天守を有する近世城郭として発展しました。しかし、福山城の築城に伴い多くの構造物が移設されました。現在残っている遺構は主に曲輪跡や石垣、井戸、堀切などです。

また、城跡内に生えるアベマキは市指定の天然記念物にも指定されています。近年には資料館の建設が計画されるも、遺構に配慮した改訂が行われた経緯があります。

結論

神辺城はその歴史的背景や構造から、日本の戦国時代や江戸時代の政治的変遷を知る上で非常に重要な存在です。現在の遺構は少ないながらも、その歴史を伝える貴重な資産となっています。

もう一度検索