神道大意

神道大意とは

神道大意（しんとうたいい）は、中世から近世にかけて、複数の神道家によって著された神道書の書名です。この名前を持つ書籍は複数存在しますが、特に著名なものとしては、吉田兼倶（よしだ かねとも）が文明18年（1486年）に室町幕府8代将軍足利義政のために著したものが挙げられます。この書は、吉田神道（唯一神道）の要旨を簡潔にまとめたものであり、当時の神道思想を知る上で重要な資料となっています。

吉田兼倶による『神道大意』

吉田兼倶は、吉田神道の創始者であり、神道界において大きな影響力を持った人物です。彼の著した『神道大意』は、吉田神道の基本的な教義や儀礼、神々の観念などを分かりやすく解説しており、当時の神道思想を広める上で大きな役割を果たしました。この書は、吉田神道の入門書としても用いられ、後世の神道家たちにも大きな影響を与えたとされています。

その他の『神道大意』

吉田兼倶以外にも、この『神道大意』という書名で著述を行った人物がいます。その中には、兼倶の曾孫にあたる吉田兼見（よしだ かねみ）によるものや、兼倶の先祖である吉田兼直（よしだ かねなお）によるものも含まれています。しかし、吉田兼直撰とされているものについては、実際には吉田兼倶による偽作であるという説が有力です。これは、吉田兼倶が自身の神道思想の正当性を主張するために、先祖の名前を借りて書いたものと考えられています。

『神道大意』が示す神道観

これらの『神道大意』を通じて、中世から近世における神道観の一端を窺い知ることができます。特に、吉田神道は、他の神道流派とは異なる独自の解釈や教義を展開しており、その思想は『神道大意』にも色濃く反映されています。吉田神道の特徴としては、神々の本質を「唯一」の存在と捉え、神道の根源を重視する点などが挙げられます。この考え方は、当時の社会や文化に大きな影響を与え、後の神道思想の発展にも寄与しました。

研究における『神道大意』

現在、『神道大意』は、歴史学や宗教学の研究対象として重要な資料となっています。特に、吉田神道に関する研究においては、欠かすことのできない一次資料として扱われており、当時の神道観や宗教思想を理解する上で重要な役割を果たしています。

参考資料

『神道叢説』 「神道大意」国書刊行会 p.8（国立国会図書館）
『国民思想叢書. 神道篇』　加藤咄堂 編　国民思想叢書刊行会 p.15-25

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