祺祥

祺祥（きしょう）

祺祥（満洲語：ᡶᡝᠩᡧᡝᠩᡤᡝᠰᠠᠪᡳᠩᡤᠠ、転写：fengšengge sabingga）は、清朝の第9代皇帝・同治帝の治世において定められたものの、施行されることのなかった元号です。1861年の一時期に存在が決定されましたが、政変によりすぐに廃止され、幻の元号となりました。

概要

1861年8月22日（咸豊11年7月17日）、咸豊帝が熱河（現在の承徳）の地で崩御しました。この事態を受け、粛順らを中心とする顧命大臣たちが朝政を補佐することになります。同年9月3日、新たな元号として「祺祥」が定められました。

しかし、この決定は長くは続きませんでした。同年11月2日、辛酉政変が発生し、西太后を中心とする勢力が実権を握ります。政変の結果、11月7日には、祺祥を「同治」に改める旨の詔勅が発せられ、祺祥という元号は、実際に使用されることなく歴史の中に消えることになりました。

祺祥は、その名が制定されたものの、実際に年号として使用されることなく終わった、清朝史における特異な存在です。短い期間ではありましたが、当時の政治情勢が大きく変動した時期を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

祺祥の制定から廃止までの流れ

1. 咸豊帝の崩御: 1861年8月22日、咸豊帝が崩御。
2. 顧命大臣による朝政補佐: 粛順らが顧命大臣として朝政を補佐。
3. 祺祥への改元決定: 1861年9月3日、新たな元号として「祺祥」が定められる。
4. 辛酉政変: 1861年11月2日、西太后らが主導する辛酉政変が発生。
5. 同治への改元: 1861年11月7日、「祺祥」を「同治」に改める詔勅が発布。
6. 祺祥の廃止: 「祺祥」は施行されることなく廃止。

この一連の出来事は、清朝末期の政治的混乱を如実に示しています。特に、元号の変更が、権力闘争の象徴として用いられたことは、当時の政治状況を理解する上で重要なポイントとなります。祺祥は、結果として幻の元号となりましたが、清朝の歴史において、その短い存在が重要な意味を持つことは間違いありません。

出典

『清史稿』巻21 本紀21 穆宗
（咸豊十一年秋七月）乙卯，定年号祺祥。（中略，冬十月）庚申，詔改祺祥為同治。

関連項目

元号一覧 (中国))
元号一覧 (台湾))

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