福井大仏

福井大仏：歴史と信仰が織りなす金銅の巨像

福井県福井市花月にある福井大仏は、多くの歴史と信仰の物語を秘めた、高さ約8メートル（台座含む）の金銅製聖観音菩薩坐像です。天台宗西山光照寺の境内に安置され、地域住民から厚い信仰を集めています。

一乗谷から花月へ：波乱の遍歴

福井大仏の起源は、戦国時代、朝倉氏によって一乗谷に建立された石造りの大仏に遡ります。古くからの言い伝えによると、その胎内には弘法大師作と伝わる伽羅木の聖観音像が納められていたとされています。朝倉氏の隆盛期には、領主からの篤い信仰も寄せられていたと記録されています。

しかし、数々の災禍に見舞われます。朝倉氏の滅亡による兵火、江戸時代の大火、そして明治時代の大火と、幾度となく寺社は焼失。しかし、不思議なことに、大仏と胎内の聖観音像は、これらの災厄を免れてきました。

1691年（元禄4年）、光照寺と共に現在地に移転。その後、1945年（昭和20年）の福井空襲と1948年（昭和23年）の福井地震によって、石造りの大仏は大きな損壊を受けます。

昭和の再建：金銅の輝き

幾多の困難を乗り越えてきた聖観音像は、1958年（昭和33年）、光照寺の移転を機に、現在の金銅製の大仏として再建されました。この再建によって、福井大仏は新たな命を吹き込み、現代にその姿を伝え続けています。金銅の輝きを放つ大仏は、過去の苦難と、人々の信仰の深さを静かに物語っています。

変わらぬ信仰：地域の人々の心の拠り所

長い歴史の中で、度重なる災害に見舞われながらも、人々の信仰によって守られてきた福井大仏。その存在は、地域住民にとって、心の拠り所であり、歴史と文化の象徴となっています。現在も、多くの人々が訪れ、静寂の中で聖観音菩薩に祈りを捧げています。

福井大仏：詳細情報

所在地: 福井県福井市花月1-1-26
宗派: 天台宗
像高: 約7m（台座含む約8m）
材質: 金銅
* 本尊: 聖観音菩薩坐像

かつて石造りで存在した大仏の記憶と、現代に甦った金銅の大仏の姿。その歴史と信仰の重層性は、訪れる人々に深い感銘を与え続けるでしょう。

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