台座

台座：様々な形と役割

台座とは、物体を置くための土台です。最も一般的な意味では、様々な物を置くためのシンプルな台を指します。しかし、仏教美術においては、仏像を安置するための特別な台座、すなわち仏座が重要な意味を持ちます。仏座は、単なる支えではなく、仏像を荘厳し、その尊厳を高めるための重要な要素として扱われます。

仏座の種類

仏座には、多くの種類があり、それぞれが仏像の種類や位階、表現したいイメージによって選ばれます。代表的な仏座には以下のものがあります。

蓮華座（れんげざ）: 蓮の花を模した最も一般的な仏座。如来や菩薩像によく用いられ、高級な蓮華座には華蔓（かまん）と呼ばれる装飾が施されることもあります。
須弥座（しゅみざ）: 須弥山（しゅみせん）という仏教における宇宙の中心山を模した仏座。如来像に用いられることが多いです。
雲座（うんざ）: 雲を表現した装飾的な仏座。飛天像や阿弥陀如来像などに用いられることが多いです。
宣字座（せんじざ）: 箱型の仏座。「宣」の字に似ていることからこの名が付けられました。如来像に用いられます。
裳懸座（もかけざ）: 坐像の裳（も）が台座に垂れ下がっている形式の仏座。法隆寺金堂の釈迦三尊像の台座が有名です。
楊座（とうざ）: 裳懸座の一種で、丸椅子のような形状の仏座。中宮寺の弥勒菩薩像が有名です。
岩座（いわざ）: 岩を模した仏座。十二神将や明王像などに多く用いられます。
瑟々座（しつしつざ）: 岩座の一種で、角材を井桁状に組んだ形状の仏座。不動明王像のみに用いられます。
荷葉座（かしょうざ）: 蓮の葉を模した仏座。吉祥天などの位の高い天部像に用いられます。
禽獣座（きんじゅうざ）: 鳥獣をモチーフにした仏座。普賢菩薩、文殊菩薩、大威徳明王、孔雀明王などの像に用いられます。これらの菩薩や明王はそれぞれ白象、獅子、牛、孔雀といった聖なる動物を乗り物としているため、これらの動物、またはそれをモチーフにした複雑なデザインの仏座が用いられます。

台座にまつわる慣用句

台座は、仏像の威厳を象徴するものであり、その比喩表現として様々な慣用句が生まれました。

台座後光を仕舞う: 仏像から台座と後光を取り去ることで威厳が失われることから、面目や地位を失うこと、転じて生命を失うことを意味します。
台座の別れ: 人間の胴体を台座に、首を後光に見立てて、首が胴から離れること、つまり首を斬られて死ぬことを意味します。
笠の台の生き別れ/笠の台の生別れ: 同様に首が胴から離れることを意味します。「笠の台」は人間の首を意味する言葉です。
笠の台が飛ぶ: 首を斬られること、転じて免職になることを意味します。

まとめ

台座は、単なる置き台としてだけでなく、仏像の表現や意味を深める重要な要素です。様々な種類があり、それぞれの形状や装飾には深い意味が込められています。また、台座にまつわる慣用句は、その象徴的な意味を示しています。

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