福井宏
福井 宏（ふくい ひろし）氏は、1938年4月12日に佐賀県伊万里市で生まれた元プロ野球審判員です。セントラル・リーグで審判副部長を務めた経験を持ち、そのキャリアは多岐にわたります。
佐賀県立伊万里商業高等学校を卒業し、親和銀行に勤務した後、1962年に一般公募を通じてセ・リーグの審判部に入局しました。プロ野球審判員としての道を踏み出した福井氏は、1968年には審判員交流制度を活用して1年間パシフィック・リーグでもジャッジを行いました。1990年からはセ・リーグの審判副部長に就任し、組織運営にも携わります。日本プロ野球では1994年まで活動し、通算3359試合に出場という実績を残しました。特に、最高峰の舞台である日本シリーズには10回、ファンが集うオールスターゲームには5回出場しています。審判員袖番号は1988年の制度導入から退職までの間、24番をつけていました。
福井氏の審判スタイルで特筆されるのは、アウトサイドプロテクターへの強いこだわりです。当時の主流となりつつあったインサイドプロテクターに対し、アウトサイドプロテクターの方が打者の左右に影響されず一貫したジャッジができること、また捕手寄りに構える必要がないため広い視野を確保できる点を理由として、その使用を続けました。セ・リーグにおいては彼が最後のアウトサイドプロテクター使用者として知られています。このこだわりが、当時定年まで4年という時期での「台湾行き」という形で示され、福井氏自身はこれを「事実上の引退勧告」と受け止めつつも受け入れたと語っています。
1995年に台湾へ渡った福井氏は、翌1996年から審判指導員として台湾球界の発展に貢献します。さらに1999年から2001年にかけては再びグラウンドに立ち、台湾プロ野球で通算285試合に出場しました。
台湾から帰国後、福井氏は自宅のある兵庫県西宮市で主に少年野球の審判を務めていましたが、2004年に四国アイランドリーグ設立の報を聞き、石毛宏典代表に「まだやれる力がある。年寄りでも構わないなら使ってほしい」と手紙を送り、即座に採用されました。リーグの審判責任者として、2005年の記念すべき開幕戦で球審を務めるという栄誉に浴しています。当時、シーズン中は四国内のビジネスホテルに泊まり、単身赴任の形で職務にあたっていました。プロ野球での豊富なキャリアを持ちながらも、当時70歳までの現役続行を目標としていました。2006年シーズンをもって四国アイランドリーグを退任、同リーグでは186試合に出場しました。
その後、2年のブランクを経た2009年、70歳を超えてから発足した関西独立リーグ (初代) の審判責任者に就任します。このリーグでも試合に出場していましたが、運営会社の混乱から審判員への報酬未払いが発生していることを自身のブログで公表するなど、厳しい状況を経験しました。2011年1月には狭心症の手術を受け、同年度からは出場試合数を年間100試合程度から30試合程度に減らしました。2012年シーズン終了後にリーグ専門の審判部が解散。2013年5月には、医師からの要望を受け、球審を引退して塁審として審判を続けることをブログで明かしましたが、同年に関西独立リーグは解散しました。
関西独立リーグの実質的な後継にあたるBASEBALL FIRST LEAGUE（現・関西独立リーグ (2代目)）でも審判長を務めた時期がありますが、公式戦での審判活動については自身のブログでの言及は見られません。2015年1月には80歳までの現役続行を目標としていることを表明しましたが、同年3月に発足したBFLの審判部リストには、審判長の籾山創氏とともに福井氏の名前は含まれていませんでした。
四国アイランドリーグまでの各リーグでの出場試合数（マスターズリーグを除く）を合計すると3830試合となり、岡田功氏の持つプロ野球最多出場記録（3902試合）まであとわずか72試合に迫っていました。その後の関西独立リーグでの出場により、この記録を更新した可能性も指摘されています。
福井氏の審判キャリアの中で、いくつかの歴史的な瞬間に立ち会っていることは特筆されます。1968年に審判員交流制度でパ・リーグを務めた際、なんとその年のパ・リーグ優勝決定試合（阪急対東京戦、阪急西宮球場）で球審を務めました。これはセ・パ両リーグを通じて、優勝決定試合の球審を務めた唯一の例です（同時期の交流審判だった寺本勇氏は優勝決定試合に立ち会ったものの右翼線審でした）。
さらに、1990年9月8日の巨人対ヤクルト戦（東京ドーム）では、巨人が吉村禎章選手のサヨナラ本塁打でリーグ優勝を決めるという、日本プロ野球史上初となる「優勝決定サヨナラホームラン」が飛び出した試合でも球審を務めています。また、「鉄人」衣笠祥雄氏（広島東洋カープ）が2131試合連続出場の世界記録を樹立した1987年6月13日の対中日ドラゴンズ戦でも、福井氏が球審を務めていました。
伊万里商業高校野球部OBとして、母校が春夏を通じて初めて甲子園に出場した2006年の選抜高校野球大会をスタンドから観戦し、長年の夢がかなった喜びを噛み締めたといいます。甲子園球場には特別な思い入れがあり、自宅も甲子園から歩ける距離にあるほどです。
長きにわたりプロ野球、そして独立リーグにおいてグラウンドを支え続けた福井宏氏は、多くの歴史的な試合で重要な役割を担った経験豊富な審判員として、その名を刻んでいます。
日本プロ野球での輝かしい実績
佐賀県立伊万里商業高等学校を卒業し、親和銀行に勤務した後、1962年に一般公募を通じてセ・リーグの審判部に入局しました。プロ野球審判員としての道を踏み出した福井氏は、1968年には審判員交流制度を活用して1年間パシフィック・リーグでもジャッジを行いました。1990年からはセ・リーグの審判副部長に就任し、組織運営にも携わります。日本プロ野球では1994年まで活動し、通算3359試合に出場という実績を残しました。特に、最高峰の舞台である日本シリーズには10回、ファンが集うオールスターゲームには5回出場しています。審判員袖番号は1988年の制度導入から退職までの間、24番をつけていました。
福井氏の審判スタイルで特筆されるのは、アウトサイドプロテクターへの強いこだわりです。当時の主流となりつつあったインサイドプロテクターに対し、アウトサイドプロテクターの方が打者の左右に影響されず一貫したジャッジができること、また捕手寄りに構える必要がないため広い視野を確保できる点を理由として、その使用を続けました。セ・リーグにおいては彼が最後のアウトサイドプロテクター使用者として知られています。このこだわりが、当時定年まで4年という時期での「台湾行き」という形で示され、福井氏自身はこれを「事実上の引退勧告」と受け止めつつも受け入れたと語っています。
台湾、そして独立リーグへの挑戦
1995年に台湾へ渡った福井氏は、翌1996年から審判指導員として台湾球界の発展に貢献します。さらに1999年から2001年にかけては再びグラウンドに立ち、台湾プロ野球で通算285試合に出場しました。
台湾から帰国後、福井氏は自宅のある兵庫県西宮市で主に少年野球の審判を務めていましたが、2004年に四国アイランドリーグ設立の報を聞き、石毛宏典代表に「まだやれる力がある。年寄りでも構わないなら使ってほしい」と手紙を送り、即座に採用されました。リーグの審判責任者として、2005年の記念すべき開幕戦で球審を務めるという栄誉に浴しています。当時、シーズン中は四国内のビジネスホテルに泊まり、単身赴任の形で職務にあたっていました。プロ野球での豊富なキャリアを持ちながらも、当時70歳までの現役続行を目標としていました。2006年シーズンをもって四国アイランドリーグを退任、同リーグでは186試合に出場しました。
その後、2年のブランクを経た2009年、70歳を超えてから発足した関西独立リーグ (初代) の審判責任者に就任します。このリーグでも試合に出場していましたが、運営会社の混乱から審判員への報酬未払いが発生していることを自身のブログで公表するなど、厳しい状況を経験しました。2011年1月には狭心症の手術を受け、同年度からは出場試合数を年間100試合程度から30試合程度に減らしました。2012年シーズン終了後にリーグ専門の審判部が解散。2013年5月には、医師からの要望を受け、球審を引退して塁審として審判を続けることをブログで明かしましたが、同年に関西独立リーグは解散しました。
関西独立リーグの実質的な後継にあたるBASEBALL FIRST LEAGUE（現・関西独立リーグ (2代目)）でも審判長を務めた時期がありますが、公式戦での審判活動については自身のブログでの言及は見られません。2015年1月には80歳までの現役続行を目標としていることを表明しましたが、同年3月に発足したBFLの審判部リストには、審判長の籾山創氏とともに福井氏の名前は含まれていませんでした。
四国アイランドリーグまでの各リーグでの出場試合数（マスターズリーグを除く）を合計すると3830試合となり、岡田功氏の持つプロ野球最多出場記録（3902試合）まであとわずか72試合に迫っていました。その後の関西独立リーグでの出場により、この記録を更新した可能性も指摘されています。
記憶に残る歴史的瞬間に立ち会う
福井氏の審判キャリアの中で、いくつかの歴史的な瞬間に立ち会っていることは特筆されます。1968年に審判員交流制度でパ・リーグを務めた際、なんとその年のパ・リーグ優勝決定試合（阪急対東京戦、阪急西宮球場）で球審を務めました。これはセ・パ両リーグを通じて、優勝決定試合の球審を務めた唯一の例です（同時期の交流審判だった寺本勇氏は優勝決定試合に立ち会ったものの右翼線審でした）。
さらに、1990年9月8日の巨人対ヤクルト戦（東京ドーム）では、巨人が吉村禎章選手のサヨナラ本塁打でリーグ優勝を決めるという、日本プロ野球史上初となる「優勝決定サヨナラホームラン」が飛び出した試合でも球審を務めています。また、「鉄人」衣笠祥雄氏（広島東洋カープ）が2131試合連続出場の世界記録を樹立した1987年6月13日の対中日ドラゴンズ戦でも、福井氏が球審を務めていました。
伊万里商業高校野球部OBとして、母校が春夏を通じて初めて甲子園に出場した2006年の選抜高校野球大会をスタンドから観戦し、長年の夢がかなった喜びを噛み締めたといいます。甲子園球場には特別な思い入れがあり、自宅も甲子園から歩ける距離にあるほどです。
長きにわたりプロ野球、そして独立リーグにおいてグラウンドを支え続けた福井宏氏は、多くの歴史的な試合で重要な役割を担った経験豊富な審判員として、その名を刻んでいます。
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