福井直俊

福井直俊：日本の音楽教育を牽引したピアニスト

福井直俊（ふくい なおとし）は、1904年2月15日に富山県で生まれ、2001年4月2日に97歳で生涯を閉じた、日本のピアニストであり教育者です。武蔵野音楽大学の創立者である福井直秋の長男として生を受け、音楽一家の中で育ちました。

生涯

福井直俊は、東京音楽学校（現：東京芸術大学音楽学部）で音楽の基礎を学びました。その後、萩原英一やレオニード・コハンスキといった著名な指導者に師事し、さらに1930年にはベルリンへ留学し、アルトゥル・シュナーベルに師事しました。これらの経験を通じて、彼はピアニストとしての技術を磨き、音楽への理解を深めました。

帰国後、福井は新交響楽団（現在のNHK交響楽団）との共演など、演奏活動を積極的に行いました。また、ベートーヴェンのソナタ集の校訂に携わるなど、音楽の普及にも貢献しました。

教育者としての福井は、武蔵野音楽大学の教授を経て、東京芸術大学音楽学部の教授に就任し、1963年には同学部長に就任しました。さらに、1969年には東京芸術大学の学長に就任し、1979年までその職を務めました。学長退任後も東京芸術大学名誉教授として、後進の指導に尽力しました。この間、ユネスコ・アジア文化センターの理事長も務めるなど、国際的な文化交流にも貢献しました。

家族

福井家は音楽一家であり、多くの音楽家を輩出しています。父である福井直秋は武蔵野音楽大学の創立者であり、弟の福井直弘も武蔵野音楽大学の学長を務めました。妹の若尾輝子はピアニストとして活躍しました。また、長男の直敬も武蔵野音楽大学の学長を務め、福井家は代々音楽教育に携わっています。親族には、全国自死遺族総合支援センターの代表を務める杉本脩子もいます。福井直俊の妻は春子で、彼らには長男直敬、二男直祥、三男直矩、四男直静、長女朝子、二女靖子という6人の子供がいました。

功績と影響

福井直俊は、その音楽的才能と教育者としての熱意により、日本の音楽界に多大な貢献をしました。彼の教育を受けた多くの音楽家が、国内外で活躍しています。また、東京芸術大学の学長としてのリーダーシップは、日本の音楽教育の発展に大きく寄与しました。彼の功績は、1974年に授与された勲二等旭日重光章にも表れています。

福井直俊は、ピアニストとしてだけでなく、教育者、音楽行政家としてもその才能を発揮し、日本の音楽文化の発展に大きく貢献しました。彼の音楽への情熱と教育への献身は、後世に語り継がれるべき遺産と言えるでしょう。

参考資料

* 『人事興信録』42版 2003年

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