福井直秋

福井直秋：日本の音楽教育に尽力した作曲家・教育者

福井直秋（ふくい なおあき）は、1877年10月17日に富山県中新川郡上市町で生まれ、1963年12月12日に生涯を終えた、日本の作曲家、教育者です。彼は、帝国音楽学校の校長、そして武蔵野音楽大学の創設者であり初代学長として、日本の音楽教育の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと音楽への道

福井直秋は、富山県中新川郡宮川村（現在の上市町）にある浄誓寺の住職、福井智拓の五男として誕生しました。1899年に東京音楽学校へ進学し、そこで授業補助をしていた瀧廉太郎と出会います。この出会いが、彼の音楽家としての人生を大きく左右することになります。

東京音楽学校では、声楽指導法や歌曲集の編纂に力を注ぎました。また、作曲家としても才能を発揮し、歌曲や器楽曲など、約1000曲もの作品を遺しました。彼の作品は、日本の音楽史において重要な位置を占めています。

教育者としての功績

1904年には長野師範学校の教諭に就任し、教育者としてのキャリアをスタートさせます。その後、1928年には第一次帝国音楽学校の校長に就任しますが、同年辞任。翌1929年には、同校の生徒たちと共に武蔵野音楽学校を創設し、校長として移籍しました。この学校は、後に武蔵野音楽大学へと発展し、福井は1949年に新制大学となった同大学の初代学長に就任しました。

武蔵野音楽大学の創設と発展は、日本の音楽教育界において非常に大きな功績です。彼の教育理念は、多くの音楽家を育成し、日本の音楽文化の発展に大きく貢献しました。

家族と親族

福井直秋は、みつの（旧姓大石）と結婚し、多くの子どもたちに恵まれました。長男の福井直俊は東京音楽学校を卒業後、学校法人武蔵野音楽学園の名誉学園長、東京藝術大学の学長を務めました。次男の直敬は武蔵野音楽大学とベルリン音楽大学を卒業後、学校法人武蔵野音楽学園の学長となりました。その他にも、多くの子どもたちが音楽や教育の分野で活躍し、彼の血筋を受け継いでいます。

主な作品

福井直秋は、作曲家として多くの作品を遺しています。その中には、以下のものが含まれます。

朝日を浴びて
山口県立宇部商業高等学校校歌
磐田農業高等学校校歌
中央線鉄道唱歌
お池のひごい
県立岐阜商業高等学校校歌
伊那北高等学校校歌
少年飛行兵行進曲
君国
飯山高等女学校校歌
指ケ谷小学校校歌
長浜市立北中学校校歌
燕
長野県篠ノ井高等学校校歌
東京都足立十二中学校校歌
東京陸軍少年飛行兵学校校歌
島根縣立大田女学校校歌
兵庫県立小野高等学校校歌
瀑布
春の神
花吹雪
魚津中学校校歌
魚津高等女子学校校歌
ラジオ体操行進曲
ラジオ体操第一（初代）
北松南高等学校同窓会ソング
下高井唱歌
上五島高等学校校歌
東京府青山師範学校校歌
長浜北中学校校歌
群馬県立渋川女子高等学校校歌
川崎中学校校歌
静岡県立藤枝高等女学校校歌
愛媛県立新居浜商業高等学校校歌
愛媛県立今治工業高等学校校歌
東京都新宿区立大久保小学校校歌
東京都足立区立大谷田小学校校歌
東京都目黒区立中目黒小学校校歌
東京都練馬区立豊玉東小学校校歌
東京都目黒区立原町小学校校歌
東京都大田区立仲六郷小学校校歌
北海道上川郡愛別町立愛別中学校校歌
札幌大谷高等学校校歌
大分県立別府鶴見丘高等学校校歌
茨城県水戸市立五軒小学校校歌
長野県中野高等女学校校歌
福島県伊達市立伊達中学校校歌
福岡県立京都高等学校校歌
北海道岩内高等学校校歌
富山県立八尾高等学校校歌
長野県須坂園芸高等学校校歌
岐阜県立郡上高等学校校歌
福岡県立小倉西高等学校校歌
三田尻学園誠英高等学校校歌
埼玉県さいたま市立岸中学校校歌
富山県富山市立上滝中学校校歌
富山県立富山工業高等学校校歌
東京都大島町立元町小学校校歌
こどもの楽隊（ペンネーム富山仙六として発表）

これらの作品は、彼の音楽的な才能と幅広い活動を示すものです。

作詞と著作活動

福井直秋は、作曲だけでなく作詞も手掛けました。また、多くの著作も残しています。

岡崎高等女学校校歌（作曲：柴田顕正）
孤児（作曲：宮良長包）

著書には、以下のものがあります。

『初等和声学』
『日英唱歌集 第一集』
『A collection of Japanese English songs 日英唱歌集 第ニ集』
『尋常小学唱歌伴奏楽譜・歌詞評釈:第一学年用』
『祝日唱歌伴奏譜』
『音程教本伴奏譜』
『和声学教科書』
『唱歌の歌ひ方と教へ方』
『対声学』

これらの著作は、彼の音楽理論に対する深い理解と、教育者としての熱意を示しています。

福井直秋は、日本の音楽教育と音楽文化の発展に大きく貢献した人物として、その功績は後世に語り継がれていくことでしょう。

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