福井県民歌

福井県民歌について

福井県民歌は、日本の県歌の一つであり、1954年の制定以来、県民の親しみと誇りを代表する音楽です。制定当初の歌詞は三好達治によって作詞され、音楽は諸井三郎の手によるものでした。初めての演奏は、同年5月22日に福井市で行われた「県民の歌発表大会」であり、そこから県民の記憶に深く根付いていきました。

旧版の成立背景

福井県民歌が制定された背景には、サンフランシスコ講和条約の発効が大きく影響しています。講和条約の成立後、県民の士気を高めるために、当時の知事・小幡治和の提案によってこの歌が作られました。初演奏の際には、ビクターレコードからリリースされたレコードが多くの人々に親しまれ、同じレコードのB面には「意気の若越」という別の県民愛唱歌も収録されていました。

その後、福井県民体育の歌や親切国体のテーマ曲としても利用され、県民による歌唱の輪が広がる人気を博しました。このように福井県民歌は、そのときどきの福井県の歴史や文化を反映した重要な歌となったのです。

「新福井県民歌」への改訂

しかし、時間が経つにつれて、旧版の歌詞にはいくつかの問題が浮上しました。特に、それまでの市郡の区分が現状を反映しておらず、県民から「古めかしい」との意見が寄せられるようになりました。1997年、県民対話集会で新しい県民歌の必要性が訴えられ、福井県の行政は改訂を検討し始めます。

特に2014年には、「福井しあわせ元気スポーツフェスタ2014」が行われるにあたり、新県民歌の発表準備が進められました。旧作詞の要素を引き継いつつ、曲は小松長生による新たなものへと生まれ変わり、最終的にこの年の12月20日に「新福井県民歌」として披露されました。この改訂版は、オリジナルの歌詞の一部を省き、よりシンプルに、現代に即した内容に調整されています。

歌詞の変更とその意義

改訂版では、旧版の歌詞にあった5番の部分が廃止され、これにより歌歌詞は全体で3番に短縮されました。この変更は、当時の市の数や郡の組織変更に合わせたものとして県民から支持を受けました。廃止された歌詞は、過去の行政区分を記述していたため、時代遅れとの声が上がっていたのです。

サンフランシスコ講和条約から始まる歴史の流れや、地域の変遷を反映した福井県民歌は、県民自身のアイデンティティの一部となり、その記憶がいつまでも受け継がれていくことが求められています。福井県民にとって、この歌がどのような意味を持つのか、これからも語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索