福博電気軌道

福博電気軌道株式会社の歴史

福博電気軌道株式会社は、明治42年（1909年）に福岡県福岡市で設立された路面電車の運営事業者である。この会社の設立を背景として、福岡市の電気鉄道事業が幕を開け、その後の西日本鉄道（西鉄）の前身の一つとなる。

設立の背景と初期段階

1897年（明治30年）に始まった福岡市の電気供給は、1900年代に電気鉄道事業の設立を目指す動きにつながった。特に博多電灯の役員たちが関与し、1902年に会社設立願いを提出したものの、資金不足や経験不足から計画は頓挫した。

その後、1906年に市営電車事業が福岡市会で議論される中、民間による電気鉄道の設立が企画され、市と協力により新会社の設立が進められた。日露戦争後の経済ブームを背景に、1910年3月9日、福博電気軌道は最初の路線を開業するに至った。

開業と運営の初期

開業当初、福博電気軌道は大学前と黒門前の間、及び呉服町と博多停車場前の6.4キロメートルの区間で営業を開始した。この間、運賃は14区に分かれており、便宜を図るため様々な割引サービスも導入された。開業後は短期間のうちに新しい交通機関として市民に受け入れられ、開業2か月間は日平均730円以上の収入を上げるほどの人気を誇った。

1911年には博多電灯と合併し、博多電灯軌道へと社名が変更された。以降の運営は九州電灯鉄道に引き継がれることとなる。

事業拡張と合併の流れ

福博電気軌道は、開業を支援した市の契約に基づいて富を生み出し、電力供給のために博多電灯と協力を深めた。1911年には合併が行われ、福博電気軌道は解散したが、その後も旧路線は「福博電車」として市民に利用された。

交通事業の発展と民間事業

電気鉄道事業はその後も成長を続け、1910年の設立から1934年に至るまでに、様々な事業拡張が行われた。さらに福博電気軌道は土地・家屋の売買や娯楽施設の運営も手掛け、市民のライフスタイルに大きな影響を与えた。沿線には海水浴場も開設され、地域の魅力向上に寄与した。

最終的な統合と西日本鉄道への流れ

1942年、福博電車株式会社は九州電気軌道などと合併し西日本鉄道となる。これまでの路面電車の路線は西鉄福岡市内線として名を変えたが、最終的には1979年に全線廃止され、福博電気軌道の歴史は幕を降ろすこととなった。

全国の鉄道事業者が統合と再編を繰り広げる中、福博電気軌道の存在は福岡市の交通史の一部として重要な遺産を残したのである。

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